食べ物による窒息事故を防ぐ
 食べ物を気道に詰まらせ窒息し、死亡する事故は年間四千人を超えています。乳幼児や高齢者は、食べ物による窒息がおきやすいため、その予防や対処について知っておくことが必要で す。  
 乳幼児で窒息が起こりやすいのは、臼歯が無く食べ物を噛んですりつぶすこと ができなかったり、食べるときに遊んだり泣いたりなどするためです。  
 高齢者では摂食・囁下(食べ物を口から食道を経て胃に送る)機能が低下しているため、ご飯やパンなど粘りのある食べ物など咀嚼(噛み砕くこと)しにくく、大きな塊のまま喉に入って窒息に至ることもあります。窒息の原因となった食べ物として、もち、パン、こんにゃく入りゼリーなどが取沙汰されていますが、他にも、ナッツ類、丸い飴、ブドウ、プチトマト、ちくわ、りんご、ソーセージ、おせんべいなど様々な食べ物が報告されています。 
 
 
食べ物による窒息事故を防ぐためには次のことに注意しましょう。

▼誤って気管支に入りやすいピーナッツなどの豆類や飴などは3歳以上になるまで食べさせない。
▼仰向けに寝た状態や、歩きながら、遊びながらものを食べさせない。また、急停車する可能性のある車や揺れる飛行機などの乗り物の中では食べさせない。
▼食べ物を□に入れたままの会話やテレビを見ながらの食事はさせない。
▼食事中に乳幼児をびっくりさせるようなことはしない。
▼乳幼児に食べることを無理強いしない。
▼食事の際は誰かがそばにいて注意して見ていること。
▼嚥下障害を持つ子どもは食べ物による窒息が起こりやすいので充分な注意が必要です。
 
高齢者は、唾液の分泌も少なく、歯も弱くなり、咀嚼機能が低下するので、次のような食物形態について注意が必要です。

▼加熱してもやわらかくなりにくいもの(イカやタコ、きのこ類など)
▼硬いもの(ナッツ類、おかきなど)
▼厚みのないもの(海苔、わかめ、レタスなど)
▼パサパサしたもの(パン、ふかし芋など)
▼繊維の強いもの(青菜類など)
 
 
 高齢者の場合は、口の中の乾燥や歯の喪失などで「食べる力」が低下します。食事の際にはお茶や水などで口の中を湿らせ、水分を取りながら食べるようにし、よく噛んで食べることが大切です。食べ物をよく噛むためには歯の健康が重要です。歯周病の予防や入れ歯などもちゃんと自分に合っているかなどのメンテナンスも大事です。
  
こんにゃく入リゼリーによる窒息事故に注意
子どもや高齢者を中心にここ数年、こんにゃく入りゼリーによる窒息事故が起きています。窒息事故防止のため、平成19年9月、こんにゃく製造業や菓子製造業など関係業界団体では一口タイプのこんにゃく入りゼリーが子どもや高齢者には不向きであることを表す統一的な警告マークや注意書きを表示することを決定しました。
 
万が一食べ物をつまらせたら
 119番通報を誰かに頼み、ただちに次の方法でつまった物の除去を試みます。
 
【背部叩打法】
 乳幼児では口の中に指を入れずに、乳児は片腕にうつぶせに乗せ、顔を支えて、また、少し大きい子は立て膝で太ももがうつぶせにした子どものみぞおちを圧迫するようにして、どちらも頭を低くし、背中の真ん中を平手で4〜5回叩きます。腹部臓器を傷つけないよう力を加減します。
 
【ハイムリック法(腹部突き上げ法)】
 大人や年長児では後ろから両腕を回しみぞおちの下で片方の手を握り拳にして、腹部を上方へ圧迫します。この方法が行えない場合は横向きに寝かせて、または座って前屈みにして背部叩打法を試みます。  
 高齢者では食べ物が口の中にたまっているのが見えればまずハンカチやガーゼなどを巻いた指で口から掻き出すことを試みます。



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