虚血性心疾患〜狭心症と心筋梗塞〜
 近年増加傾向にある虚血性心疾患は生活習慣病の一つです。  
 高齢社会の到来とともにポピュラーな疾患になってきています。虚血は、心臓を養う冠動脈の血流が低下し、心筋が血液不足に陥った状態を言います。それによって心臓の機能に異常が起こる病気群を虚血性心疾患と呼び、「狭心症」や「心筋梗塞」がそれにあたります。  
 虚血状態になる主とした原因は動脈硬化です。動脈硬化というのは、動脈が年齢とともに老化し、弾力性が失われて硬くなったり、動脈内に様々な物質が沈着して血管が狭くなり、血流が滞る状態を言います。  
 動脈硬化は加齢によっても進みますが、運動不足や不適切な食生活が積み重なって起こる肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、ストレス過多などと深く関わっています。予防、早期発見、早期治療がとても重要になります。
 
〜狭心症〜
 狭心症は発作的に胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。血管の狭窄によって血流が低下し、心筋が一時的な酸素不足に陥っている状態です。  
 発作の起こり方や原因などにより分類され、一般的には「労作性狭心症」「安静狭心症」「器質性狭心症」「異型狭心症」「安定狭心症」のように分かれます。
 
〜心筋梗塞〜
 心筋梗塞は動脈硬化により、血管の内腔が狭くなり、血液の流れが制限されて生じます。冠動脈がふさがると約40分後から心筋の一部が壊死に陥ります。これが心筋梗塞で、生命の危険を伴います。
 
 
<狭心症の発作の特徴>
(時間)1〜10分、通常2〜3分
(痛む場所)胸の中央部が突然痛む。左肩や左腕に痛みが広がる(放散痛)場合もある。
(痛み方)締め付けられるような痛み、息が詰まるような痛み、押しつぶされるような痛みなどで、痛みの程度は違和感程度の軽いものから冷や汗を伴う強いものまであります。

<心筋梗塞の発作の特徴>
(時間)30分以上続く
(痛む場所)胸の中央部が突然痛む。胸全体、みぞおち、肩、腕、首などに痛みが及ぶこともある。
(痛み方)締め付けられるような圧迫感のある痛み、胸をえぐられるような痛みなどで冷や汗を伴うことが多く、重症ではショックを起こすことも。痛みのほかに、めまいや嘔吐、チアノーゼ、呼吸困難、意識障害がでることもあります。
 
 
心臓発作におそわれたとき
 心臓発作は突然襲ってくることが多く、死に至る場合もあります。心臓突然死は年間約5万人が死亡、迅速かつ適切な対処が命を守るのです。心臓病の人に加え、その家族や周囲の人も万が一のときの対処法を頭に入れておくことが大切です。心臓発作に襲われ、周囲にいた人の迅速な対処で命が助かったケースがたくさんあります。 
 緊急に備えて周囲の人にも体の状態を話しておき、すばやく救急車を呼んでもらうようにお願いしておきましょう。  
 心筋梗塞などの心臓発作で心臓の拍動が止まったときは3分以内に心肺蘇生法などの応急処置を施さないと脳に酸素が十分にいかなくなって生命に危険が及びます。つまり、救急車を呼んでから救急車が到着するまでの数分間に適切に処置が行えるかどうかがその後の明暗を分けるといえます。
 
応急処置
1.落ち着いて救急車を呼ぶ
2.顔を横に向け、仰向けに寝かせ、衣服をゆるめる
3.意識、呼吸を観察し、意識と呼吸が無く、心臓の動きも感じ取れないようなときは直ちに心肺蘇生法を開始して下さい。
 
心肺蘇生法
1.気道確保
 固い地面の上に仰向けに寝かせ、片方の手で額を押さえ、もう片方の人差し指と中指で顎を上に持ち上げる(頭部後屈顎先拳上法)。このとき口の中に異物があって取れるときは除去する。

2.胸骨圧迫(心臓マッサージ)
 乳頭と乳頭を結んだ線上で身体の真ん中に手の付け根を置き、4〜5cm程度沈むように圧迫する。
 肘を真っ直ぐ伸ばし、約100回/分の速さで圧迫を繰り返す。

3.AEDによる除細動
 自働体外式除細動器(AED)が使用可能であれば、機械の説明を読みながら使用する。
 
Q.人工呼吸しなくていいの? 
A.できるならやったほうが良いのですが、□と□との接触に抵抗があったり、感染症の問題があります。血や吐いたものが付いていることもあり、心理的躊躇が時間のロスにつながります。呼吸が止まっても血液中には酸素が残っているので、心臓を動かすことで、体内組織に酸素を送ることができます。
 
Q.脈は取らなくていいの?
A.脈の確認はプロでも難しく、時間のロスにつながります。脈を取る時に、自分の指先の鼓動を患者の脈と勘違いすることもあります。一般的に意識がなく呼吸が止まると、数分で心臓も止まります。このため、意識も呼吸もなければ心肺停止とみなします。
 
 
心臓が悪い人は日常生活を慎重に
 心臓の悪い人や高血圧の人などは、日常の何気ない動作が命取りになることもあります。
〔朝〕
・目が冷めたら布団の中で軽く手足を動かしてからゆっくりと起き上がるようにします。
・洗顔の際は冷たい水ではなく温水を使うようにし、急な血圧上昇を防ぎます。
・通勤時間に余裕を持つこと。慌しい出勤は、心拍数や血圧を上げることになり、駅の階段の駆け上がりや満員電車などは危険です。
 
〔昼〕
・仕事で無理をしない。
・時々休憩をとり、心と体をリラックスさせるように。
 
〔夜〕
・入浴は心臓に負担をかけない38度くらいの湯に半身浴でつかり、長湯はしないように。
・夕食は遅い時間にならないように。
・睡眠時間を十分に。毎日7〜8時間の睡眠をとるのが理想的です。
 
 
心筋梗塞の発作が起きやすい状況
時間帯:早朝  
場所:冬季の屋外、トイレ、浴槽・脱衣所  
季節:冬・夏  
動作・状況:気温の変化、早朝のウォーキングなど限度を超えた激しい運動、喫煙・過食・多飲酒入浴前の・後、カゼ等のウイルス感染しているとき
 
 
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