血管や血液を傷める原因と
食生活のポイント
 毎日の生活習慣や、年齢の影響を受けやすい血管ですが、動脈硬化が進行すると命に関わる病気になってしまう危険性があります。心臓の筋肉に酸素と栄養を供給している冠動脈の動脈硬化が進行すると狭心症や心筋梗塞などを引き起こします。脳の血管で動脈硬化が進行すると脳梗塞や脳出血を引き起こし、意識障害や手足のマヒなど大変重篤な状態になる可能性が高いといえます。血管や血液を傷める原因を見ていきましょう。
 
【血糖が高い】
 穀物や砂糖、果物などに多く含まれる糖質は体にとって大切なエネルギー源です。食物から摂取した糖質を、体内でブドウ糖に変え、エネルギーとして利用するのです。血液中のブドウ糖は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって細胞に取り込まれるのですが、ブドウ糖が過剰にあると、いくらインスリンを分泌しても間に合わず、膵臓がダウンし、血糖値を下げられなく なり、高血糖の状態になります。  
 高血糖になるといわゆる「血液ドロドロ」といわれている状態になり、血管を傷つけてしまいます。
 
食のポイント
▼糖質は吸収の遅い穀類や芋類からとる。
▼お菓子や清涼飲料水、アルコールはなるべく控える。
▼オクラや山芋などに含まれる、ヌルヌル成分(ムチン)には糖質の吸収を抑えて排出を助ける作用があるので積極的にとるように。
▼玉ねぎやにんにくに含まれるイオウ化合物には、イ ンスリンの分泌を促進したり、血栓の生成を防ぐ作用があります。特に玉ねぎには血糖値を下げる成分が豊富に含まれています。
  
 
 
【血圧が高い】
血圧は一般に年齢とともに高くなるといわれていますが、高齢者においても140/90mmHg以上を高血 圧としています。この定義によると、高齢者のおよそ3分の2以上が高血圧であり、ありふれた病気といえ ますが、脳卒中や痴呆などの原因となっているので、高齢者においても予防、治療、自己管理が重要となる病気です。  
 高血圧といえば「塩分に注意」といわれています。塩分を取りすぎると、血液中にナトリウムが増え、それを薄めるために水分をたくさんとったり、血管の内皮細胞から水分が染み出したりして、一時的に血液量が増加します。多量の血液を一気に送り出すことにより血圧が上がってしまうのです。  
 その他、喫煙、体の冷え、ストレスなどでも血圧が上昇します。高血圧になると絶えず血管に圧力がかかり傷つきます。そこへ悪玉コレステロールが入り込み、動脈硬化を引き起こすのです。
 
食のポイント
▼減塩を心がける。塩分は1日8g以下に抑える。塩分は、しよう油やソース、みそ汁、漬け物、パン、ソーセージ、干物などにも多く含まれているので注意が必要。
▼カリウムの豊富なりんごやバナナ、トマトなどをとりましょう。カリウムはナトリウム(塩分)をとりすぎて血圧が上がっている場合、血圧を下げる働きをします。
▼昆布やわかめ、もずくなどの水溶性食物繊維をとる。体内のナトリウムと結びついて排出してくれます。
▼加工食品やインスタント食品は塩分が多いので控えましょう。
▼アルコールも量が多すぎると血管を収縮させるので控えめに。
 
 
 
【血中脂肪が多い】
血液中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態を「高脂血症」といいます。この「血液ドロドロ」といわれる状態になると、コレステロールが血管壁に沈着し、血管の内腔を狭くしてしまいます。そうなると血液の流れが悪くなり、さらに血管壁の沈着物が破れると血液の固まりができて血流を止めてしまうこともあるのです。  
 血液中の脂肪が多くてもすぐに体に異変が起こるわけではなく、特に自覚症状が無いまま静かに進行し、徐々にコレステロールが血管壁に溜まり、動脈硬化を促進し、やがて狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの命に関わる重篤な病気を引き起こしてしまいます。
 
食のポイント
▼青背魚(いわし、さば、さんまなど)に含まれるEPAやDHAは血管を傷める悪玉コレステロールを減らします。
▼妙め物やサラダのドレッシングにはオリーブ油を使うとよい。オリーブ油に多く含まれるオレイン酸には 善玉コレステロールを減らさず悪玉コレステロールだけを減らす作用があるのです。
▼高脂肪の肉類やバター、生クリーム、でんぷん、砂糖などの摂取を控える。
▼抗酸化食品を積極的にとる。(野菜や緑茶、ごまなど)
▼納豆や豆腐などの大豆製品にはコレステロール値を正常に保つ働きがあります。
 
 
献血に協力する時は…
 現在、日本では輸血に用いられている血液は全て善意の無償に よる献血により提供されています。  
 献血に対する国民の理解と協力により、年間約600万人の献血 者から採血しています。しかし、年々献血者数が減少しており、血液の供給上不都合をきたすことが危倶されています。  
 献血は1回の採血量や年齢、体重、血液の比重、年間採血回数など、厚生労働省が定めた採血基準に基づいて行われています。また、献血者の健康を守り、さらに輸血を受けた人の健康を守るために献血者への問診や、採血された血液に感染症や異常がないか詳しく検査を行っています。  
 現在、深刻な問題となっているのが、血液を介して感染する病気に感染した初期には、検査をしても反応が出ず、そのような病気に感染している可能性があるかどうかは問診で確認する以外にありません。ですから、献血の際の問診には責任を持って正直な回答をお願いします。そうしないと輸血された患者さんに病気を感染させてしまうことになりかねません。
 
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