腰痛があるというのは、日常生活を送る上で、とてもつらいものです。腰痛があると、私たちは背中や腰の骨、筋肉に何か異常があるのかと考えます。
 
 長い時間同じ姿勢をとったり、運動不足が続いていたり、重い荷物を運んだ後などの筋肉の疲労、さらに加齢などが原因となる腰痛が最も多いといわれています。しかし、腰痛の原因はそれだけではなく、内臓の病気からくるもの、精神的なものが原因でおこるものもあるのです。腰痛は原因をみつけて治療を進めていくことが大切です。
 
 内臓に疾患がある場合に起こる腰痛の特徴としては、安静に休んでいる時でも痛んだり、動作とは関係なく痛みます。
 
 また、発熱や腹痛、不正出血などの他の症状も出ます。このような場合は内臓に病気があるために起こる腰痛の可能性が高いので、内臓の検査を受けてほしいのです。
 
 次に整形外科の検査でも内科の検査でも明らかな異常が見られない時は、精神的なものが原因になっている場合があります。
 うつ病、ヒステリー、心身症、ストレス過多など、日常の精神的疲労などからの腰痛は、痛みの程度が変わったり、痛む場所も移動するなど訴えはさまざまです。

腰痛で悩んでいる人の多くは姿勢が原因!
 腰痛で悩んでいる人の大半は、不適切な姿勢や生活習慣などから起こり、慢性化しやすいものです。多くは前に体を曲げると痛む 「前屈障害型腰痛」 と呼ばれるもので、同じ姿勢で仕事を続けたり、長時間車の運転をしていたり、中腰の姿勢で仕事をしていたため、腰椎の椎間板や靭帯、背筋などに無理を与えてしまい、腰痛を起こすものです。
 
 このタイプの腰痛は適切な治療と正しい姿勢を心がけることによって症状も軽くなります。
 一方、高齢者によくみられる変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症は、前屈障害型とは逆に腰を後ろに反らすと痛くなる 「後屈障害型腰痛」 です。また、スポーツをする人に見られる 「腰椎分離症」 も腰を反らすと痛みが起こります。
 いずれにしても腰部の痛み方が激しい場合や、排尿、排便が困難になった場合はできるだけ早く医療機関を受診して下さい。

骨粗鬆症が腰痛を起こすことも
 骨粗鬆症とは、骨の量が減り、骨がスカスカになってもろくなる病気です。そのため、日常のささいな動作で骨折してしまうこともあります。高齢者や特に閉経後の女性に多く、全身の骨で見られますが、脊椎に起こりやすくなります。初期の段階では自覚症状は現れませんが、進行すると椎体が押しっぶされたような圧迫骨折を起こします。
 
 圧迫骨折が徐々に起こってそれが重なっていくと、脊椎が変形し、背中が曲がり、慢性的な背中の痛みや腰の痛みを起こします。骨の量は個人差がありますが、20〜30歳代をピークに年々減っていきます。骨の量が減る要因として、加齢、遺伝的素因、女性ホルモンの変化、カルシウム不足、運動不足、喫煙などがあげられますが、特に女性ホルモンは破骨細胞の数を減らして、骨芽細胞の働きを促進する役割を果たしているため、女性は閉経後、骨粗鬆症にかかりやすくなります。
 
 最近は骨粗鬆症に効く薬も出てきていますが、予防することが第一です。日常生活ではカルシウムを多く含む食物とカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食物をとること、骨量を増加させるために適度な運動をすることです。高齢者の場合は散歩や日常生活でできるだけ体を動かすようにしましょう。

腰痛を予防
腰痛を予防するためには…
(1)骨を丈夫にする
 カルシウムを1日600mg以上摂取するのが理想です。牛乳、乳製品、煮干し、小松菜など、カルシウムを多く含む食品を積極的にとりましょう。合わせてビタミンDもー緒にとることでカルシウムの吸収を良くし、骨への沈着を高め、丈夫にする働きを高めてくれます。ビタミンDは、マグロ、うなぎ、さば、干ししいたけなどに多く含まれています。
(2)栄養をバランス良く、肥満しない
 カルシウムばかりをとるのではなく、基本は栄養が偏らないようにすること。肥満をすると腰に負担がかかるので肥満しないように適正カロリーを守ることが大切です。
(3)日頃から体を良く動かすこと
 肥満防止や体力を強化することで腰痛を予防します。全身の筋肉や関節、月建などをゆっくり伸ばす運動(ストレッチ)やウォーキングを習慣づけるとよいでしょう。
(4)正しい姿勢
 長い時間のデスクワークや中腰の姿勢での仕事、車の運転などしている人は正しい姿勢と、定期的に腰を伸ばすことを意識しましょう。
 
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