結膜炎とは結膜に生じた炎症の総称です。
 結膜は、白眼の部分の眼球結膜と、まぶたの裏側をおおう眼瞼結膜(ガンケンケツマク)からなっています。
 この眼球結膜と眼瞼結膜は結膜円蓋(ケツマクエンガイ)でつながっており、連続した一枚の粘膜で構成されています。
 角膜と結膜は、外界と直接接しているために、様々な刺激にさらされます。このような刺激や乾燥から守るために角結膜表面は、涙液で常に潤った状態を保っています。
 涙液は、粘液層、水層、脂層の3層構造からなり、角結膜の表面に均一に広がって、乾燥しにくいようにしています。
 また、細菌などの病原体が繁殖するのを抑える働きをしています。ですから滅多に感染は起こらないのですが抵抗力が低下していたり、ウイルスの感染によって炎症を起こす場合があります。
 
 
 
○主な結膜炎の種類
 
急性結膜炎
 急激に起こった炎症で、眼球の結膜(白眼)が発赤(充血)し、目やにが出てくる病気です。
 非常に多くの原因が急性結膜炎を起こします。
 ウイルスや細菌による感染性とアレルギー性のものがあります。結膜の浮腫(水ぶくれ…一見ゼリー状に見える)が起こることもあり、異物感やかゆみ、光がまぶしいなどの症状があり、重症では眼痛などを伴うこともあります。
 ウイルス性ですと、眼以外の症状として耳の手前にあるリンパ節がぐりぐりと腫れ、押さえると痛むことがあります。
 
慢性結膜炎
 急性結膜炎の軽い症状が長く続く状態です。
 細菌感染やアレルギー、涙液の分泌低下、ドライアイなどが原因です。高齢者など抵抗力が低下している人に起こりやすいといえます。
 常に充血や目やに、かゆみなどがあり、まぶたの裏側にブツブツができたり小さな砂状の結晶、結膜結石、ができることもあります。
 ウイルス性結膜炎はウイルスの感染によって生じる結膜炎のことです。
 原因となるウイルスには、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどがあり、ウイルスによって、またウイルスの型によって病状が異なります。
 
流行性角結膜炎
 アデノウイルスの感染が原因で起こり、感染力が非常に強く、公衆浴場やプールなどで感染することもあり、感染から約1週間の潜伏期を経て発病します。
 症状としては、充血、目やに、流涙、異物感、眼瞼腫脹のほか、耳の前のリンパ節が腫れたり、発熱することもあります。
 病人に接触しないことが重要ですが、家族などに病人が出た場合は、タオルなどの共用はしないことです。
 治るまで、通勤通学は控えましょう。
 
単純ヘルペス結膜炎
 単純ヘルペスウイルスの感染で起こる結膜炎で子供に多い初感染によるものと大人に多い再発型のものとがあります。最近は、大人でも初感染が増加しています。
 症状は、流行性角結膜炎とほぼ同じような症状が現れますが、多くは片方の目だけにみられます。
 
細菌性結膜炎
 細菌の感染によって起こります。ブドウ球菌、淋病、連鎖球菌、肺炎球菌など様々な細菌が原因となって起こる結膜炎で、充血や膿をもった目やに、流涙が起こります。重症の場合は、潰瘍ができて激しく眼が痛んだり、髄膜炎などの病気に至るものもあるので注意が必要です。
 
クラミジア結膜炎
 クラミジアという病原体の感染によって起こります。クラミジアは、目に感染するとトラコーマという重い結膜炎を起こします。
 性行為の際に感染するケースが多いので、セックスパートナーや家族の検査も必要といえるでしょう。
 
乾性角結膜炎
 加齢や目の酷使などにより、涙液が減少したり、コンタクトの装用などで異常をきたすと角結膜が乾燥し、結膜が充血したり、角膜に傷がついたりし、ドライアイと呼ばれる状態になります。
 進行すると、角結膜に障害が起こります。
 乾燥感、異物感、眼精疲労などがあり、乾燥した部屋などでは症状が悪化します。
 
アレルギー性結膜炎
 アレルギー反応によって起こります。
 原因となるアルゲンは花粉、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、薬剤、コンタクトレンズなどです。
 涙液が減少しているとアルゲンを洗い流す作用が低下するので、アレルギー性結膜炎を起こしやすくなります。
 細菌が眼球内に侵入して失明する場合や、視力がどんどん低下するなどの大変困難な状態になる可能性もゼロではありません。
 
※目の乾燥感や充血、異物感などが続く場合は、放っておかずに眼科を受診することが大切です。
 
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