パーキンソン病ってどんな病気?

パーキンソン病

 パーキンソン病の患者さんは全国で12万人〜15万人いるといわれ、決して珍しい病気ではありません。好発年齢は50〜70歳ぐらいで高齢者ほど有病率が高くなります。  

原因は不明ですが、加齢、細胞の酸化、遺伝子、環境因子などが総合的に作用すると考えられています。

パーキンソン病には特徴的な4つの症状があります。

 

1.ふるえ(振戦)

 手や足がふるえますが、手足のふるえはパーキンソン病以外の病気でも起こります。パーキンソン病のふるえの特徴は始めは右か左のどちらかの手または足がときどきふるえるようになり、病気が進むにつれて反対側までふるえの範囲が広がり、持続的にふるえるようになります。何もしないでじっとしている時や横になっているときなどの安静時にふるえ、眠るとおさまりますが、目が覚めるとまた始まります。体を動かすと止まります。  

 手指では、しばしば丸薬を丸めるような特有のふるえ方をする場合があります。

2.こわばり(筋固縮)

 筋肉がかたくこわばって動きが悪くなります。ひじや手首、手指、足の曲げ伸ばしがよくできない、スムーズに動かせない、肩や首の関節がうまく回せないなどの症状がでます。特に振戦をともなうケースでは、歯車のようなガクガクとした筋肉のかたさを示すことが多くなります。

3.動作の緩慢(寡動・無動)

 ひとつの動作を始めるまでに時間がかかり、いざ始めても時間がかかり、動きが緩慢になります。さらに病気が進行すると身動きしなくなることもあります。  

 まばたきをする回数が少なくなり、表情が乏しくなる(仮面様顔貌)や、話し方がボソボソとしゃべるような感じになったりします。

4.歩行障害・姿勢反射障害

 歩行を開始しようとしても足が前に出ないすくみ現象や、歩くと次第に歩行速度が速くなり、前へつんのめる突進現象がおこります。また、手をあまり振らない、小さな歩幅でヨチヨチ歩くなどがみられます。  

 病気が進むと、からだを前方や後方に押された際に姿勢を立て直すことができず、前方や後方に突進したり転倒したりする姿勢反射障害がみられます。

 このように特徴的な症状が運動面に現れますが、パーキンソン病は運動面以外にも様々な症状が現れます。個人差はあるものの自律神経の乱れからくる症状や精神症状も現れる場合があります。

 

便秘に悩まされる

 パーキンソン病の患者さんの多くは便秘で悩まされています。これは、胃腸の働きが弱くなるためです。さらにパーキンソン病を治療する際に使用する抗コリン薬の腸の運動を低下させる副作用で便秘が起こる場合もあります。

頻尿・排尿障害・尿失禁

 パーキンソン病になると、排尿反射の調整がうまくいかず、頻尿になったり、排尿が困難になる人もいます。また、尿失禁をおこす人もいます。

立ちくらみ

 パーキンソン病になると、一般的に血圧が低くなる傾向があり、立ち上がった瞬間に急激に血圧が下がり、立ちくらみを起こすことがあります。ひどい場合は気を失って倒れる人もいます。

よだれや嚥下障害

 唾液は普通、無意識に飲み込んでいますが、パーキンソン病になると無意識の飲み込みがうまくできなくなり、よだれとなって外に出てきます。飲み込みがうまくできない嚥下障害など、病気が進行すると増えてくる症状です。

冷えやむくみ

 血液の循環が悪くなり体温調整がうまくいかなくなり、手足が冷えやすく、足がむくむことがあります。

抑うつ症状

 パーキンソン病の約半数の患者さんにうつ症状がみられます。原因のひとつは病気と関係した脳内の何らかの障害が考えられていますが、病気のために体がうまく動かせず、生活に支障が出て不安になったり、悲観的になり気分が落ち込んだり意欲を失うなどもうつの原因となっています。

幻視

 パーキンソン病が進行すると、幻視を起こす場合があります。幻視とは現実には見えないものが見える症状で、たとえば壁のしみや汚れなどが虫のように見え、動いていると錯覚するといった症状です。抗パーキンソン病薬の副作用で幻視が起こることもあります。

 

パーキンソン病の疑いがある症状があるなら…

 パーキンソン病の専門は、神経内科医のいる病院を受診するのがよいと思いますが、パーキンソン病の治療は定期的に通院する必要がありますので、診断を専門医で受けた後は、近くの病院で経過観察をしたり、薬の処方をしてもらってもよいでしょう。

パーキンソン病にはリハビリが重要
リハビリ

 パーキンソン病にかぎらず、全身の機能を維持する上でリハビリはとても重要なことです。体を動かさずにいると筋肉や関節が衰え、ますます動けなくなります。また、血液の循環が悪くなり、全身の臓器の機能が低下します。特にパーキンソン病の患者さんは、体の動きが不自由になるので日常の身体活動から遠のいてしまう傾向があります。  

 パーキンソン病と診断されたら、病気の初期から軽い運動を習慣づけることです。リハビリをする場合は、リハビリテーション科など、専門家から指導してもらうのが良い方法です。

 パーキンソン病は徐々に進行していく病気ですが、皆が寝たきりになるわけではありません。症状をコントロールしながらポジティブな気持ちでリハビリを続けることが大切です。

 

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