高齢者の食生活

 「食べる」ことは活動エネルギーを生み出し、生きる意欲にもつながります。しかし、高齢になると食が細くなりがちで、基礎代謝量や活動量が低下します。それにともない体力の衰えを訴える人が増えていきます。

 また、高齢者の多くは、何らかの病気を抱えていることが多いため、体調不良などで食欲不振になっていたり、歯が弱っていてうまく噛めない、唾液の分泌量が減少して飲みこみにくいなど思うように食べられないことがあります。

 しかし、そのままでいると、低栄養状態になってしまいます。低栄養状態になると、何もやる気がでず、ぼんやりとして日常生活のさまざまな動作が緩慢になり、やがては寝たきりになってしまう可能性もあります。感染症や合併症にリスクも高く、死亡率も高くなります。

 高齢者の場合は食べられる量に限りがあるので、質を高めて栄養状態を改善する工夫が必要といえます。

 

偏食にならない工夫

 低栄養状態にならないためには、ごはんと野菜を毎食とる必要があります。ごはんに漬け物だけで簡単に済ませる人や、牛乳や乳製品をとらない人は、要注意。食べる量が少ないのでビタミンやミネラル、カルシウムが不足しがちです。主食・主菜・副菜の組み合わせで栄養バランスをとります。

主食

ごはん・パン・めん類

主菜

魚・肉・卵・豆

副菜

野菜・芋・海藻

主食・主菜・副菜を組み合わせ、不足しがちなカルシウムを牛乳や乳製品で補います。

年をとってからお肉が食べられない!

 年を重ねるごとに、お肉や脂っこいものが食べられなくなるという話はよく聞きます。高齢になると消化器官の機能が衰え、消化に時間のかかる肉類や脂っこい料理を避けるようになります。しかし、肉などに含まれるたんばく質は主に筋肉、血液、皮膚など体内の細胞の構成成分になるほか、免疫物質や酵素などの多くの物質とかかわり、体に欠かせない栄養素です。  

 良質のたんばく質は肉類だけではなく、魚介類や卵、大豆などにも多く含まれているので、お肉がだめな人はそれらから栄養をとりましょう。

食欲がわいてこない

 食欲がわかない理由は色々ありますが、何か病気をしている場合以外での理由で多いのは運動不足でエネルギーを消費していなかったり、ひとりで食べる食事がつまらない、料理がワンパターンになりがちなどです。  

 食事は大勢で楽しく食べるといつもより食欲が出て、たくさん食べられたりします。しかし、一人暮らしや夫婦二人の生活になると、食事を楽しむという状況になりにくいと思われます。体が元気で食欲がわいてこないのであれば食事前に少し散歩をするなど体を動かしたり、目先のかわった料理を作って食べるなど工夫をしてみましょう。

食べ物が飲み込みにくい感じや、すぐにのどにつまらせてしまいます

 咀嚼や嚥下機能に障害がある人は食べ物が飲み込みにくくなったりむせたりします。咀嚼・嚥下の機能は個人差が大きく、原因によって程度や状態が変わってきます。まず歯の状態はどうでしょうか?歯の状態が悪いとよく噛むことができずに誤嚥しやすくなります。歯の状態が悪いまま放置して、やわらかい食品ばかり食べていると、ますます嚥下力も弱くなってしまいます。噛みごたえを感じる程度にやわらかくすることがポイントです。 

 高齢になると、唾液の分泌量も少なくなり、誤嚥しやすくなります。よく噛むことで唾液の分泌を促すことも大切です。食前に水分を一口飲み、口を潤すこともよいでしょう。

 

<痴呆の予防に食べたい食品>

納豆…納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素は血栓を溶かし、脳の血行をよくする効果があります。

青背魚…さば・さんまなどの青背魚に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳の老化を防止します。

ナッツ類…ナッツ類こは老化防止効果のあるビタミンEが豊富です。

 

 脳血管性痴呆の原因になる脳梗塞や脳出血は、高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病が引き金となります。日頃から栄養のバランスを考えた食生活を心がけることが大切です。

 

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