広報誌 健康倶楽部/2010年5月号

抗がん作用のあるファイトケミカル

 近年注目されているファイトケミカルと呼ばれる植物性栄養素です。ファイトケミカルは野菜、果物、穀類などに含まれていて、お茶やぶどうなどに含まれるポリフェノール、大豆に含まれるイソフラボン、緑黄色野菜に含まれるカロテノイドなどです。 ファイトケミカルには、感染予防や遺伝子を傷つける物質から体を守る抗酸化作用、発ガン物質を体なら排除する酵素の働きを活性化させたりして、がんを予防する効果があるといわれています。アメリカ国立がん研究所が、がん予防に効果のあるデザイナーズフーズとして発表しています、デザイナーズーフーズにあげられた食品は、がんを抑制するほかに、体の免疫力を高めて細菌やウイルスの感染を防いだり、生活習慣病 を予防する働きも持っています。

■ファイトケミカルのいろいろ

<カロテノイド>

 植物に含まれる色素で、紫外線を遮断し、活性酸素を除去する作用があります。カロテノイドは、β-カロテンやα-カロテンがあり、どちらも緑黄色野菜に多く含まれています。

<リコピン>

 リコピンはトマトの赤い色素で、強力な抗酸化作用があります。活性酸素を消去する能力がビタミンEの100倍あるといわれています。リコピンには乳がん、肺がん、子宮がんなどのがん細胞の成長を抑える作用があることや、皮膚がんの原因となる紫外線から皮膚を守る作用があることもわかっています。リコピンは加工用の赤い色の強いトマトに多く含まれているので、効果的に摂るには、トマトジュースなどの加工品がよいでしょう。

<ポリフェノール>

 ポリフェノールは赤ワインやぶどう、なすなどに含まれていて、活性酸素の影響を強く受けやすい細胞膜上で活性酸素を除去し、発ガンや老化を防ぐ点が注目されています。ポリフェノールの効果は2〜3時間しか持続しないといわれていまずので、食事のたびに補給するのが理想です。

<フラボノイド>

 ポリフェノールの仲間で植物の色素成分です。玉ねぎやブロッコリーに含まれるフラボノール類、大豆に含まれるイソフラボン、緑茶に含まれるカテキンなどで強い抗酸化作用があり、発がん物質の活性化を阻害します。

<アントシアニン>

 アントシアニンはブルーベリーやブドウの皮、紫キャベツ、赤しそなどに含まれる青紫色の色素で、ポリフェノールの仲間です。アントシアニンは眼精疲労を解消する効果があるのは有名ですが、強い抗酸化作用もあります。

<フコキサンチン>

 わかめ、昆布、ひじきなどの海藻類に含まれているカロテノイドの一種です。フコキサンチンが細胞を不活性化させる強力な作用があるため、腫瘍の発生や増殖を抑制する働きがあるといわれています。

<クロロフィル>

 植物や海藻類の細胞にある緑色の色素で、ピーマン、ほうれん草、にら、あしたばなどの緑色の野菜や緑茶に多く含まれています。 クロロフィルには染色体異常を抑制する作用があるので、発ガン防止効果があります。また、血中のコレステロール値を下げ、血栓の発生を抑える作用もあります。

<アリシン>

 にんにく、玉ねぎ、にらなどのにおいのもととなるイオウ化合物で、強い抗菌作用、抗カビ作用、抗血栓作用、抗酸化作用があるすぐれた栄養素です。

<ルテイン>

 カロテノイドの一種で、ほうれん草、キャベツ、とうもろこし、そばなどに含まれていて、抗酸化作用があり、紫外線や活性酸素から目をまもる働きが注目されています。

ファイトケミカルの含まれている食品を多種類組み合わせて摂取すると効異的です。

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