広報誌 健康倶楽部/2010年6月号

子どもの髪に注意!アタマジラミ

 アタマジラミは集団生活をしている保育園、幼稚園、低学年児童に、季節を問わず頻繁に発生しています。シラミは人の血を吸って生きている害虫で、日本ではコロモジラミ、ケジラミ、アタマジラミの3種類がみられています。シラミに吸血されたあとは激しいかゆみに悩まされます。  アタマジラミというと不潔の代名詞のように思いがちですが、衛生状態には関係なく、先進国でも今や感染が蔓延しています。頭やからだをくっつけて遊んだり集団で昼寝をしたりすることが蔓延の原因となっています。

アタマジラミはどんな虫?

 アタマジラミの成虫の体長はオスが約2mm、メスが約3mm。卵の大きさは約0.5mm。卵は髪の毛に産みつけられ、約10日で幼虫、それから8〜10日で成虫になり、頭皮を吸血します。卵の色は灰白色。成虫は灰褐色。寿命は1ケ月位ですが、その間にメスは卵を髪の毛に200〜300個位産みます。髪の毛から落ちて吸血しなくても3日程度は生きています。

チェックの方法は?

 成虫は動きが早いので見つけることば困難ですが、卵は注意深く観察すれば見つけることができます。卵は髪の毛に斜めに付着しています。ルーペで見るとよく観察できます。  

 幼虫になったあとの抜け殻と間違いやすいものにヘアキャスト(フケと脂肪の塊。卵もどきといわれているもの)があります。幼虫の抜け殻はしっかりとくっついていて指でつまんでも取れませんが、ヘアキャストは取れやすいので区別がつきます。ふ化前の卵は毛の根元に見られ、ふ化後の抜け殻は毛の根元から離れています。

感染の経路?

 髪の毛と髪の毛が直接触れて感染します。クシ、タオル、寝具、帽子など身体に直接触れるものを共用することによって感染します。

アタマジラミの症状は?

 吸血が繰り返されて行われているうちに痒みが起こります。その度合いは人により異なります。痒がらないこともあります。  

 特に、後頭部や耳の後ろにかけて多く寄生するため、その部位を強く痒がることがあります。

 

 感染に気がついたらすぐに皮膚科など医療機関を受診しましょう。髪の毛は短く散髪した方が駆除しやすくなります。毎日、丁寧に大人がシャンプーしてあげてください。(専用のシャンプーやすきぐしが市販されています。)洗髪後、目の細かいすきぐしやブラシで髪の毛を丁寧に梳かし、アタマジラミの卵を探します。見つけたら、卵のついた髪の毛を切り取ります。10日間これを続けます。

 タオル、シーツ、枕カバー、下着などは共用をさけ、毎日こまめに取り替え、乾燥機や熱湯などで熱処理をした後で洗濯し、更にアイロンをあてると効果的です。布団は日に 干します。アタマジラミは、60℃で5分間漬けると100%死滅するとされています。 部屋は掃除機をかけ、髪の毛は吸い取ります。

 

 対策の中で重要なことは「アタマジラミは不潔さとは無関係である。誰にでも感染することがある。」という知識を保護者や学校が正しく持って対応をすることがあげられます。

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