広報誌 健康倶楽部/2010年6月号

床ずれの予防

 床ずれは、長い時間同じ姿勢で寝ていたり、栄養不良や衛生状態が悪いなどのため、からだの一部分への血液の流れが不十分となり、しだいに皮膚や筋肉がくずれれていく状態です。  

 最初は、床ずれができやすいところがポツンと赤くなるだけです。指で押しても白くならないで赤みがとれない状態になったら危険信号です。この時期に手当をしないと、皮膚がやぶれ、ただれたり、からだが衰弱し他の病気を誘発することもあります。

 いったんできると治りにくいばかりでなく非常な苦痛を伴うことが多いので、床ずれを予防する介護が大切です。また、床ずれができたときは早めに医師に相談しましょう。

 

床ずれの予防のために

  1. 同じところを長い時間圧迫しないようにして、血行をよくします。最も効果的な予防方法は、可能な限り座位(足を床につけ腰かけた姿勢)をとるようにすることです。食事や排泄を座位で行なうことからはじめます。最初は介護の負担が大きいですが、やがて軽減されることになります。病状から座位をとることができないときは、2〜3時間ごとに寝返り(体位変換)を介助します。
  2. からだの清潔をこころがけます。
  3. 栄養状態に注意しましょう。貧血などがあると床ずれがよりできやすくなるので、たんぱく質、ビタミン類が不足しないように注意します。

 

 床ずれを予防するために不可欠な座位、重いすへの乗り移りなどは、高齢者や介護をする人にとって負担の大きいことです。また、体位変換は昼夜の別なく必要です。

 そのため、寝ているときにはそのままにしておくことが、安楽だからと考えてしまい、同じ姿勢をしている時間がどうしても長くなりがちです。

 こうした動作を支援するベッドや体重圧(体圧)を分散するエアーマット、姿勢を保持したり、変換する体位変換器などを適切に使用することが大切です。

 

ベッドの使い方・選び方

 高さの調節と背上げができるベッドは、起き上がリや座位、車いすへの乗り移りがしやすく、介護をするときの姿勢もらくです。  

 ベッドを選ぶには、「寝やすい」だけでなく、ベッドから「離れやすい」、「介護者も使いやすい」という視点が必要です。

  1. 高さの調節と背上げができるベッドを選びます。一日のほとんどをベッド上で過ごす人には、さらに脚上げのできるものがよいでしょう。
  2. これらの操作を電動で行うものと手動のものがあります。本人が使用でき、介護の負担を軽減するためには電動のものがよいでしょう。
  3. マットレスは、やわらかすぎると座ったときに不安定になりやすいので、うすくて堅めのものがよいでしょう。
  4. ベッドの高さは、介護等の目的に応じて調節します。

立ちやすい高さ

ベッドに座って床に足がピッタリつく高さ

介護しやすい高さ

介護者の膝がベッドの側板にあたる高さ

エアーマットの使い方・選び方

 エアーマットは空気の浮力で体圧を分散し、同じ部位に圧迫がかかるのを防ぎます。マットの表面から空気を吹き出し、乾燥させるものもあります。  

  1. 空気の筒(セル)が破損することがあります。セルの取り 外しをできるものが修理が容易です。
  2. マットは厚いものと薄いものがあります。自分で寝返りが できる人には、動きを妨げない薄いものがよいでしょう。
  3. エアーポンプは舌が静かで、圧力が強いものを選びましょう。
  4. 体重によってポンプの圧力を変えます。重い人はど圧力を高くします。
  5. チリやぼこり、汗で空気の噴出孔が目づまりをしていることがあります。噴出のようすにいつも注意をはらいましょう。

円座、かかとクッションの使い方

 腎部(でんぶ)やひじ・膝・かかとなどは床ずれができやすく、円座やか かとクッションなどを使い、直接圧迫しないようにします。  

  1. 円座は背部の下に敷きます。
  2. かかとクッションは、かかとを保護し、保温の効果もあります。
  3. 羊の毛を使ったムートンは、保湿性・通気性がよく、弾力性がありますので、床ずれ予防の品物の材質として適しています。

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