広報誌 健康倶楽部/2010年9月号

知っておこう!家の救急箱によくある解熱鎮痛剤

 頭痛・歯痛・生理痛・咽喉痛などの痛みを抑えてくれる解熱鎮痛薬に使用されている成分には様々な違いがありますので、症状にあったものを選ぶ事が大事です。

 

アセトアミノフェン

 脳にある痛みを感じる部分に働きかけて痛みを和らげる。アセトアミノフェンを使った多くの薬はカフェインとエテンザミドをプラスした「ACE処方」になっています。鎮痛作用と解熱作用に優れ炎症作用ははとんどありませんので「腫れ」には効果はありません。 胃を荒らすことも少ないのですが、まれに吐き気や下痢、発疹などが出る人もいます。

アスピリン

 アスピリンは痛みの元となるプロスタグランジンという成分を抑え、痛みを和らげます。プロスタグランジンには胃酸の分泌低下や胃粘膜の血流増加などの作用があるので、アスピリンを服用するとこれらの作用を抑える働きもあるので、胃が荒れたり、腸を痛めたりする場合があります。アスピリンを使った薬にはほとんどが胃を守る成分が含まれていますが、胃腸の悪い人は医師に相談したほうがよいでしょう。

イブプロフェン

 もともとは医療用で抗炎症作用の強い点が特徴です。痛みを伴う炎症(喉の痛み)などにはこれが一番効果を発揮するでしょう。副作用も少ないですが、まれに発疹、かゆみ、めまいなどが出る人もいます。

アルコールと解熱鎮痛剤の組み合わせは絶対ダメ!

 アスピリンとアルコールを一緒に服用すると、相乗効果により胃が荒れてしまいます。また、アセトアミノフェンを含んだ解熱鎮痛薬だと肝臓に毒性の活性代謝物ができる可能性があり、肝機能障害を起こすことがあります。

薬が排泄されるまで

私たちは病院から処方された薬や市販されている薬を飲むわけですが、次の点をしっかり把握しておくことが大切です。

@薬の名前とその効果

Aいつ、どのように飲むか。期間はどれくらい飲むか

B薬の服用期間中の注意(飲食物やほかの薬の服用、運動などの制限をする必要があるのか)

C薬の副作用と、副作用が起きたときの対処

 

 自分の飲む薬です。詳しく知っているとそれだけ効果は増しますし、安心できます。薬は口から入って食道を通り、次に胃の中に入っていきます。

 胃で吸収されるものと小腸へ送られて、体に吸収されるものとあります。胃や小腸などの消化器官から吸収される薬の大部分は門脈という血管に集まりそこから肝臓へ送られて全身に回ります。そして疾患のある治療すべきところで効果を発揮するのです。薬は効果を発揮した後、肝臓で無毒化され排泄されたり、腎臓から尿と一緒に排泄されます。

酵素はさまざまな毒を無毒化する

 肝臓で薬を無毒化にするのにかかわってくるのは主にチトクロームP450という酵素です。この酵素は多くの種類があり、酸化作用、還元作用、活性分解作用、抱合作用などの無毒化のスタイルを持っています。  

 肝臓で無毒化される薬には次のようなものがあります。 テオドール、カフェイン、フェナセチン、鎮痛薬、イミプラミン、降圧薬、抗生物質、免疫抑制剤など。

 肝臓で無毒化するには肝機能が重要となります。一部の野菜や果物にはチトクロームP450の働きを邪魔し、薬の無毒化を妨げるものがあります。妨げられると薬は無毒化されなくなり、強く効きすぎてしまうことがあります。  

 また、肝機能が低下していても薬を無毒化しにくくなり、薬の作用が強く表れて効きすぎたり、副作用を起こしたりすることがあるので、そのため医者は肝機能が低下している患者には薬の投与量を減らすなどの調整をします。

薬を水で飲むことの重要性

 薬を飲む場合、ほとんどの薬は水や白湯と一緒に飲むのが良いとされますが、水分は薬を小腸に送る時間を早める効果があるからです。しかし水分といってもお茶やジュースなどは含まれている成分と薬が反応して思うような効果が出ないことがあるので、やはり水や白湯がベストなのです。器用に薬だけを飲む人がいますが、これはあまりよくありません。  

 水を使わずに飲むと解け方も悪くなり、胃から小腸へ送られるスピードも遅くなってしまい効果的ではありません。コップ一杯の水で薬を飲むことは大切なことなのです。

乳幼児への薬の飲ませ方

 薬の効果を損なったり、間違った使い方をしないためにはお母さんやお父さんが薬のことをよく理解し、正しく使うことが大事です。小さな子どもや赤ちゃんに薬を使うときにはちょっとしたコツがあります。

 

★シロップ剤

 シロップ剤はスポイトで正確に測って、幼児の場合はそのまま飲ませてもかまいません。赤ちゃんの場合は哺乳瓶の乳首に入れて赤ちゃんの口に含ませる。

★粉薬

 そのままでは飲みにくい子どもや赤ちゃんには湯冷ましと少量の砂糖を加えて練り、指で上あごに塗りミルクを飲ませる。最近では薬を飲ませるためのゼリーが薬局で市販されています。

※赤ちゃんの場合、ミルクに薬を混ぜて飲ませる時、哺乳瓶のミルク全部に薬を混ぜてはいけません。全部に混ぜると途中で嫌がったり、その後、ミルクを飲むのを嫌がるのです。少量のミルクを取り分けて薬を飲ませた後、薬を混ぜていないミルクを飲ませてください。

 

○薬と混ぜて良いもの

・水、湯冷まし、ゼリー、プリン、ジャム、牛乳

×薬と混ぜないほうが良いもの

・おかゆ、うどん、熱いお湯、ミネラルウォーター、イオン飲料、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、はちみつ

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