広報誌 健康倶楽部/2010年9月号

腎臓の病気を見逃さない〜尿の異常に早く気づく〜

 腎臓は、体の中で作られた老廃物を尿にして、排泄したり、血液を浄化する大切な働きをします。血液は体の各組織に酸素や栄養を供給しながらそこで生じる老廃物を回収し、いったん腎臓へ運んでろ過し、心臓へもどります。腎臓は汚れた血液から老廃物をこしとり、これを尿として排泄するのです。このような働きのほかに、尿を作って体液の成分や量を調節する働きや、ホルモンやビタミンを作ったり活性化することなどがあります。

腎臓病の自覚症状

 腎臓が悪くなると、むくみが出たり、尿に異常が現れたり、高血圧になるというような症状がありますが、無症状のタイプもあり、自覚症状がない人がいます。大部分の腎臓病はこのタイプで進行して、末期になってはじめて症状が出てくるのです。ですから、皆さんには定期的に健康診断を受け、腎臓に異常が起こっていないか調べる必要があります。また、普段から自分の尿の状態や、むくみの有無をチェックすることも大切です。

尿のチェック

 健康な人の尿の色は、淡黄色から淡黄褐色で、朝起きた時の尿や汗をたくさんかいた時などは、少し色の濃い尿が出ます。反対に水分をたくさん飲んだ時や寒い時は、色の淡い無色に近い尿がでます。  

 ただし、見た目だけでは判断できない、血尿がでている場合もあるので、40歳を超えたら定期的に尿検査を受けるほうが良いでしょう。

 

●淡黄色〜淡黄褐色 → 健康な色

●赤褐色・茶褐色・混濁 → 急性腎炎、腎結核、腎臓ガンなど

●白濁 → 腎盂腎炎、膀胱炎

●黄褐色・泡 → 肝臓や胆道の病気

 

 皆さんは、自分の尿の匂いを嗅いだことがありますか? 健康な人の尿はほんのわずかな臭いしかありません。アンモニア臭というのは、尿を空気中に放置しておくと細菌によって臭うためのものです。  

 自分の尿の匂いを嗅いでみて、最初から刺激臭があるようでしたら、膀胱などに細菌が繁殖している可能性や尿路に炎症を起こしている場合があります。又、甘ったるい臭いがする場合も糖尿病の疑いがあるので、尿検査を受けてみる必要があります。

 その他、尿の泡立ちの有無も見てください。尿にたんばく質が漏れ出ている場合、尿が泡立ちます。このように自分の尿を時々チェックする習慣をつけ、いつもと違うと感じた時は、病院で尿検査を受けることが望ましいといえます。

 

※白い紙コップをトイレに用意しておき、色や臭いを確かめる。紙コップを用意していない場合でも、白い便器ならある程度色の変化はわかります。色付きの洗浄剤などを使用しないでおくと、尿の健康状態もチェックしやすいです。

尿検査や血液検査で腎臓に障害があるとわかると…

 腎臓の状態を画像検査で詳しく調べます。

 

@超音波検査

超音波をあてて腎臓の断面を映し、腎臓の形や大きさ、位置、内部の様子を見たり、腫瘍や結石などの診断ができる。痛みはありません。

A腹部単純撮影

造影剤を使用せずに腹部をX線撮影します。特に尿管結石が疑われる場合に用いられます。

B造影剤による腎盂撮影

注射や点滴で造影剤を静脈注射し、それらが腎臓から出てくる時に腎盂や尿管の様子を調べる方法です。造影剤を用いることで超音波検査ではわからない腎臓の働きをチェックすることができます。

その他

CTスキャン検査、MRIなどの画像検査も用いる場合があります。

腎臓病の治療

 検査結果をもとに、どのような治療をしていくか主治医が判断します。治療には生活指導、食事療法、薬物治療、透析療法、腎移植、泌尿器科的治療などがあり、外科的手術が必要になる場合もあります。病気の種類や進行具合によって治療法も異なります。  

 ほとんどの場合、薬物療法が治療の中心となりますが、並行して食事療法が重要視されます。食べるものにより、腎臓に過剰な負担をかけたり、機能の低下を招くことがあるので、食事療法はとても重要なのです。

食事療法

 腎臓病の食事療法において基本条件のひとつで守らなければならないのが塩分の制限です。なぜ塩分の制限が必要なのかといいますと、腎臓は血圧調整にかかわる臓器のひとつで、腎臓が悪くなると高血圧になりやすくなります。高血圧の状態になると、腎機能がさらに悪化するので塩分を制限して、高血圧になるのを防ぐのです。  

 食事の制限は病気の種類や急性期、回復期などによっても異なるので、医師や栄養士の指示どおりにします。腎臓の働きは、年齢が高くなるにつれて低下しますが、腎機能が長く保持できる生活を計画的に行います。特に成人の腎臓病は完治することが少ないため、完治しなくても病気の進行を食い止め、腎不全にならないように気をつけなくてはなりません。全ての病気にいえることですが、生活習慣の改善をすることはなかなか簡単にはいきませんが、しかしながら生活習慣の改善なくして健康はありません。今日からご自分の尿をチェックして下さい。

 

腎炎の予防に・・・
解毒作用、利尿作用のある食品

●小豆…解毒作用や利尿効果でむくみを解消

●すいか…利尿効果抜群で、解熱作用もあり炎症を抑える

●とうがん…利尿作用に優れ、ビタミンCやカリウムが豊富

●にがうり…利尿作用があり、長寿の沖縄の代表的な料理、「ゴーヤチャンプルー」などでいただくとおいしい。

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