広報誌 健康倶楽部/2010年12月号

COPD〔慢性閉塞性肺疾患〕

 COPDは、喫煙や粉塵などの有毒な粒子やガスの吸引によって肺に炎症がおこり、しだいに呼吸が困難になっていく病気です。

 最も影響の強いものが喫煙で40歳以上で喫煙している人のおよそ15〜20%にCOPDの疑いがあり、日本で500万人以上がCOPDと推測されています。

 厚生労働省発表の2006年、日本における死亡原因としてCOPDは10位になっています。COPDでもっとも多い症状は、からだを動かしたあとの息切れです。これは長期間にゆっくりと進行します。このため日常生活の活動が制限されることがしばしばあります。

 他には、しつこくつづく咳や痰、ぜんそくでみられるゼイゼイという呼吸(喘鳴)や呼吸困難で息苦しくなる発作がみられたりします。

 また、重症になると胸部が前後に膨らむビール樽状胸郭や日をすぼめて呼吸をするなども特徴的な状態です。

 COPDの治療の基本は禁煙です。禁煙することで、肺機能の低下を止めることができます。軽症の場合は短時間作用型の抗コリン薬、β2刺激薬などの気管支拡張薬を服用します。中等症の場合は長時間作用型の気管支拡張薬を服用し、運動療法などで全身持久力・筋力の向上を目指す呼吸リハビリテーションを行ないます。

 重症以上の場合には吸引ステロイド別の使用により症状の悪化を防ぎ、さらに症状が重くなった場合は在宅酸素療法の適用も行われます。

 COPDの診断には、スパイロメトリーと呼ばれる検査が必要になります。これは、思いきり吐き出した空気の量(努力性肺活量)のうち、最初の1秒でどれくらいの量を吐き出しているかを測る検査です。最初の1秒間に吐き出すことができる量(1秒量)を測り、1秒量の努力性肺活量に対する比率である1秒率を計算し、これが70%未満で気管支拡張薬を服用したあとでも改善しないときCOPDと判断されます。

子宮内膜症

 子宮の内側をおおっている膜を子宮内膜といい、一定の周期で増殖と剥離を繰り返しています。この剥離が月経です。子宮内膜や子宮内膜に類似した組織が、子宮内腔以外の部位に発生してくることがあり、これを子宮内膜症といいます。これらの組織は、本来の子宮内膜と同様に女性ホルモンの影響をうけるので、子宮の内側以外の部位に発生しても、性周期に応じて月経のように出血を起こすと考えられています。子宮内膜症は女性ホルモンの作用を受けて増殖、進行するため、月経のある女性だけに起こり、妊娠中、閉経後の女性にはほとんど見られない病気です。

 

COPDの病期分類
0期(COPDリスク群) スパイロメトリーは正常だが、せき、痰の慢性症状がある
T期(軽症) 1秒量が80%以上、(同年齢、同体格の日本人と比較/以下同)慢性症状の有無にかかわらず
U期(中等症) 1秒量が50%以上、80%未満、慢性症状の有無にかかわらず
V期(重症) 1秒量が30%以上、50%未満、慢性症状の有無にかかわらず
W期(最重症) 1秒量が30%未満あるいは1秒量が50%未満で慢性呼吸不全あるいは右心不全を合併している 

 

 たばこの煙の中には、約4,700種類もの化学物質が含まれています。この中には有害な化学物質も数多く含まれており、特に人体に悪影響を及ぼすのは、ニコチン、タール、一酸化炭素です。これらの成分が気管、気管支に炎症を起こしたり、肺胞の構造を破壊したりして、呼吸機能を低下させます。

 また、肺の細胞の遺伝子に影響を及ぼし、肺がんを発生させる因子となります。そして、たばこの煙はたばこを吸わない人をも苦しめます。受動喫煙といわれていますが、たばこを吸わない人が同じ空間で喫煙している人の吐き出す主流煙・副流煙を呼吸とともに吸ってしまうことです。たばこの煙は喫煙者が吸う主流煙とたばこの火がついた先の部分から立ち上る副流煙から成り立っています。

 副流煙は主流煙と比べて高い濃度の有害物質が多く含まれていて、タバコを吸わない人でも、近くにタバコを吸っている人がいると呼吸と共に副流煙を吸い込んでしまいます。

 たばこは吸っている本人だけではなく、周りの人の健康も損なうものだということを知っていただいて、煙草を吸っている人は禁煙にチャレンジしてください。

 子宮頸がんは子宮の入口(頚部)にできるがんで、子宮がん全体の約7割を占めています。子宮頸がんの羅患率は年間10万人あたり11人、20〜40代女性のがん発症率ではトップです。 原因はいろいろ考えられますが、最近はヒトパピローマウイルスとの関連性が注目されています。

 ヒトパピローマウイルス(HPV)とは、性器に多く存在するウイルスでありふれた病原体です。性交で感染し、大半の人は免疫力によってウイルスを追い出しますが、一部の人は徐々にがん化していきます。HPVは100種類以上の型が確認されており、このうち発がん性のある高リスク型は15種類ほどで子宮頸がんなどの悪性の病気を引き起こします。 昨年から子宮頸がんを予防するワクチン接種が始まりました。感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能といわれています。しかし、このワクチンは、すでに感染しているHPVを排除したり、子宮頚部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。また、このワクチンはすべての型の子宮頚がんを防ぐわけではないので定期的ながん検診を受ける必要があります。

 

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