広報誌 健康倶楽部/2010年12月号

子どもに多い急性中耳炎

 耳の構造は外耳、中耳、内耳の三つの部分にわかれており、聴覚と平衡感覚をつかさどっています。 外耳は、耳介、外耳道、鼓膜からなっています。中耳は、鼓室(中耳腔)と乳突蜂巣からなり、ここは鼓膜の振動(音)を内耳に伝える三つの耳小骨や耳小骨筋などがあります。内耳は聴覚に関与する蝸牛、平衡感覚に関与する前庭の二つに大きく分けられます。前庭は三半規管、卵形嚢、球形嚢からなっています。

 急性中耳炎は中耳の病気の中でもっとも頻度が高く、特に子どもに多いのが特徴です。風邪に続いて、発熱、耳痛、難聴、耳閉塞感などが生じます。乳幼児の場合は50%以上が風邪(上気道炎)に続いて発症します。

 通常は、風邪または上気道炎の症状に続いて中耳炎の症状が現れます。鼻水、鼻づまり、咽頭痛やせきなどのあとに耳閉塞感、ついで激しい耳痛がおこります。この時乳幼児では39度以上の発熱があることが少なくありません。

 上気道の炎症によって鼻腔や咽頭に炎症が生じると、鼻咽頭粘膜が腫れて細菌感染が生じます。一般には、インフルエンザ桿菌(かんきん)、肺炎球菌、ブランハメラ・カタラーリスという細菌が原因菌となることが多く、これらの菌が鼻腔や咽頭から耳管を通じて中耳内に侵入することによって、中耳炎が発症します。 また、鼓膜に小さな穿孔がある場合は水泳や洗髪のあとに外耳道側から細菌が侵入して中耳炎を生じる可能性があります。

 中耳炎が進行すると鼓膜が炎症によって脆くなり、中耳内にたまった膿汁の圧によって鼓膜に孔があいて、脳性耳漏となります。耳漏が生じて中耳圧が軽減すると、激しい耳痛も軽快します。

 

乳幼児の鼻づまりや耳痛の対処法

 乳幼児で鼻がつまっている場合は、片方ずつ鼻をかませるようにして下さい。鼻がかめない新生児や乳児の場合は、吸い取ってあげる必要があります。幼児には、温かい蒸しタオルを通して呼吸すると一時的に鼻がとおります。夜間に耳を痛がる場合は、耳を冷やすと痛みを抑える効果があります。

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