広報誌 健康倶楽部/2010年12月号

血糖値を下げる効果が期待される食品

 血糖値が高い人に共通してみられるのがミネラル不足といわれています。ミネラルは野菜に含まれる栄養成分で、マンガン、クロム、リン、カリウム、亜鉛などインスリンの糖代謝作用を助けます。

 ミネラルが不足しないように積極的に摂取することで、血糖値を下げるよう働き、糖尿病の症状を改善する一つのサポートとなることが期待できるのです。我が国での糖尿病患者のおよそ9割は食べすぎや運動不足で肥満し、インスリンの分泌が不足したり、インスリンの働きが不十分になることが原因の2型糖尿病だといわれています。

 特に2型糖尿病の人は、食生活に注意することで血糖値の上昇を抑えることが可能になります。

タマネギにはミネラルが豊富

 タマネギには多くのミネラル成分があり、血糖値が高い人にはオススメの野菜です。1日に4分の1個食べることが目安ですが、それより多く食べても血糖値が下がりすぎたりしないので、健康維持には1日2分の1個程度食べれれば良いでしょう。調理の仕方は生で食べても加熱しても効果は変わらないのですが、水にさらしてしまうと水溶性のビタミンなどが水に溶け出してしまうので、水にさらさないほうが良いでしょう。

 また、タマネギには血管が詰まるのを防ぐ血栓予防作用や肝機能の向上、老化抑止などの効果もあるといわれています。比較的料理しやすい野菜なので、他の野菜と組み合わせて食べて欲しい食品です。

オクラのネバネバは食後の血糖値の上昇を抑える

 オクラのネバネバ成分はムチンやペクチンなどの食物繊維の一種で、血圧を下げる効果や腸で糖質を包み込んで吸収を抑える働きがあるので食後の血糖値の上昇を抑えます。オクラは、インスリンの働きを良くするマグネシウムや亜鉛などのミネラルも豊富です。

血糖値が気になる人は五穀を食べる

 五穀とは玄米、麦、アワ、ヒエ、キビ、黒米などの穀物のことです。これらの穀物はミネラルやビタミンを豊富に含み、それぞれに様々な健康効果があるので、最近は白米に混ぜて食べる人が多くなりました。五穀は白米と異なり、歯ごたえがあるので良く噛んで食べるようになります。良く噛んで食べると満腹中枢が正常に働くので食べすぎを防ぎ、肥満を解消できます。また、胃腸の消化作用を促進し、インスリンの代謝を助け、血糖値の上昇を抑えることにつながります。

アロエをデザートでいただくと血糖値を下げる

 アロエにはアルポランという多糖類が含まれ、これにはインスリンの分泌を促して血糖値を下げる力があります。アロエは別名「医者いらず」と言われるほど、その薬効が認められてきました。ただ、食べにくいという難点がありますが、ジュースにしたり、薄くスライスしてヨーグルトなどと一緒に食べると良いでしょう。 

バナナはインスリンの効果を高める

 バナナは比較的安価で入手でき、栄養価に優れ、食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいます。中でもカリウムには血糖値を下げる作用があるので、甘いものを制限している人にとっては、バナナは程よい甘さがあり、満足できる食品です。しかし、たくさん食べるとカロリーオーバーになるので、1日1本までにとどめておくほうが良いでしょう。

沖縄原産のシークァーサーには血糖値を下げる効果が

 シークヮーサーは沖縄原産の野生ミカンで、ノビレチンという成分があり、このノビレチンには、リウマチ、骨粗鬆症症、がん予防などの効果があると研究結果が出て、さらに血糖値や血圧を下げる効果があることもわかってきたのです。沖縄以外の地域ではなかなか手に入りにくいのですが、ジュースなどはスーパーでも見かけることが多くなったので試してみてはいかがでしょう。

 

難病の人の悩み

Q.健康診断で血糖値が高いので、食事に気をつけるように言われました。独身で、ほとんど外食する生活でしたので、いざ食事療法といわれても何をどうしてよいのかわかりません。

A.外食というのは、健康という面から言えばあまりオススメできません。というのも、外食はほとんどが高カロリー高脂肪のメニューが多く、味付けも濃いものが多いのです。その食生活を長い間続けると、血糖値だけではなく、体の様々な臓器が悲鳴を上げることになります。ですからまず、朝食と夕食は自炊することです。平日に時間の余裕が無いのなら、休日に野菜中心のおかずを作って冷凍保存しておくなどの努力が必要です。書店に行けば健康のための料理本などが見つかるはずです。手軽に作れるものから始めてみてください。自分の体は自分で守るということです。

 

Q.夫が糖尿病と診断されてから、家に引きこもりがちになり、何をするでもなく沈み込んでしまいました。やる気の無さから仕事も1ケ月前にやめてしまい、最近は気に入らないことがあると部屋に閉じこもったままになることもあります。家族はどのように接したらよいのか悩んでいます。

A.ご主人は、糖尿病と診断されたことでショックを受けられたのでしょう。しかし、糖尿病を理解して前向きに治療することで健康な人と同様の生活ができることは十分可能なのです。そういったことを話し合えればいいのですが、心配なのは精神的に揺らいでいることが見受けられるので、うつ病になっている可能性も否定できません。かかりつけの医師に相談し、治療をすすめていきましょう。

 

Q.糖尿病がありますが、子どもを産むことを希望しています。大丈夫でしょうか。

A.妊娠中の高血糖は、母親にも胎児にも悪影響を及ぼします。特に妊娠中は血糖コントロールを良好に保たなくてはなりません。妊娠する前からきちんと血糖をコントロールして、食事療法中心に治療を続けます。糖尿病だからといって出産できないわけではありません。妊娠中毒症などのリスクはありますが、血糖コントロールが良好ですと普通の人と同じように出産できるので、かかりつけの医師に相談しましょう。

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