広報誌 健康倶楽部/2010年12月号

高齢者の骨折

 高齢者は、転倒したときに骨折する危険性が高く、骨折すると治療に時間がかかったり、歩きづらくなったり寝たきりになることもあります。

 転倒の原因は、身体機能の低下や病気などで、誰でも歳をとると筋力が低下し、バランス感覚が衰えます。その上、血圧の調整機能が衰えており、急な動作をすることで一時的に血圧が下がり、立ちくらみを起こしたり視力が低下して、物につまづきやすく、転倒しやすくなります。

 転倒によって骨折するケースは、年齢が高くなるほど増えていきますが、高齢者は骨の密度が低下していて、「骨粗鬆症」になっている人が多く、ちょっとした衝撃でも骨折してしまう危険性が高くなっています。

 骨粗鬆症とは、骨に細かい空洞が多数でき、スカスカになった状態です。骨密度が低く、骨が体を支える本来の強さを保つことができず、少しの衝撃で骨折しやすくなります。65歳以上では約3分の1の人が骨粗鬆症にかかっていると思われ、女性に多い病気です。

骨組髭症を予防するために

 骨粗鬆症にならないためには、食事で骨の元となるカルシウムやその吸収を助けるために、ビタミンDを多く含む食品を積極的にとるようにします。また、骨の質を高めるためにコラーゲン、ビタミンKや葉酸なども不足しないようにしましょう。

 それだけではありません。骨づくりを活性化させるためには運動も欠かせません。骨や関節は使わなければどんどん衰えていきます。ウォーキングなどを習慣づけておくことも必要です。

 

骨粗鬆症の予防に役立つ栄養素

カルシウム…牛乳、乳製品、小魚、小松菜

ビタミンD…きのこ類、かじき、あんこう(肝)

コラーゲン…鶏肉、豚肉、牛すじ、ふかひれ、どじょう、なまこ

葉酸…レバー類、菜の花、枝豆

ビタミンK…納豆、あしたば、おかひじき

 

 骨粗鬆症による骨折で多いのは、背骨の圧迫骨折や大腿骨近位部の骨折です。背骨の圧迫骨折は、転んでしりもちをついただけでも背骨にひびが入ったり骨折します。激しい痛みが現れることもあれば、検査を受けるまで気づかない場合もあります。圧迫骨折が起こると姿勢が悪くなり、前傾姿勢になっていきます。背中が曲がり、筋肉が衰えバランスが取りにくくなり、転倒しやすく、腰を強く打つと大腿骨の近位部を骨折する危険性が大きくなります。

 大腿骨近位部を骨折すると、激しく痛み、歩行することも困難な状態になります。多くの場合手術が必要となり、高齢者の場合は入院がきっかけで寝たきりになることもあるので、手術後はリハビリテーションを行うことが大切です。また、退院後、転倒することを怖がって家に引きこもりがちになる人がいますが、それではますます筋力の低下や体力の低下に繋がるので、適度に体を動かしましょう。

 実際は高齢者の転倒は屋外より家の中で起こることが多いようです。高齢になると玄関の段差や電気コード、浴室などで転倒するケースやフローリングの床や廊下で滑って転倒する場合も多いです。まず、家の中に危険な場所が無いか見直して見ましょう。

家庭でおこる転倒の危険

滑る!

・フローリングの床

・スリッパやつっかけ

・浴室の床や浴槽の底

・床に散らばっている新聞紙や広告紙など

・固定していないマットやカーペット

 

バランスを崩す!

・階段

・床に置かれたものをまたいだりしたとき

・台に乗って高いところの物をとるとき

・靴やズボンをはくときに片脚立ちになったとき

 

つまずく!

・玄関の上がりかまちや敷居などの小さな段差

・カーペットのヘリ

・電気コードや床に置かれたもの

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