広報誌 健康倶楽部/2011年2月号

子どものウイルス肝炎

 A型肝炎

 A型肝炎ウイルスが感染しておこる肝炎です。A型肝炎ウイルスは、便に排出されるため、患者の便が感染源になります。便中のウイルスが水に入り、汚染された水を飲んだり、貝や魚を生で食べると感染します。さらに人から人へと伝達されて感染が広がります。

 感染すると約4週間で発熱し、だるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。5歳以下の子どもでは症状が軽いことが多く、その後黄疸が生じ、色の濃い尿が出ます。症状は約1カ月ほどで消え、完全に治り、慢性化もしませんが、まれに劇症化もみられるので注意が必要です。 A型肝炎の多くは自然治癒するため、症状に合わせた補助的な治療が行われます。

 

 B型肝炎

 B型肝炎ウイルスは、主に血液を介して肝炎をおこします。子どもに多い感染経路は、母子感染です。その他、輸血、思春期以降の性行為感染などです。母子感染の予防は、1995年からHBs抗原陽性の母親から生まれた子どもが保険診療で感染予防措置を受けられます。

 B型肝炎ウイルスに感染すると約3ヵ月で食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸などが現れます。ときに劇症化したり、急性期をすぎてから慢性化します。一方感染しても症状が現れないままウイルスが体内に長期間居続ける人がいて、そのような人をキャリアと呼びます。

 キャリアの中には数十年後に徐々に慢性肝炎の症状がでてくるケースもあります。母子感染で生まれたての赤ちゃんに感染した場合はB型肝炎ウイルスに対する抗体を含んだ注射やワクチンを摂取し、予防します。

 

 C型肝炎

 C型肝炎ウイルスは、主に血液を介して肝炎をおこします。母子感染することもありますが、感染しても3歳までにウイルスが消失することもあります。

 C型肝炎は慢性化しやすく、急性C型肝炎の約70%〜80%は慢性肝炎に移行します。進行が緩やかで経過が長く、肝硬変や肝がんになる可能性はB型肝炎に比べて高くなります。

 

 新生児肝炎

 生後2ヵ月以内に発見される肝炎で、黄疸などの肝炎の症状が現れます。原因は不明ですが、多くの場合生後4〜5ヵ月で黄疸が消え、生後6〜7ヵ月になると肝機能も正常になります。まれに重症化して肝硬変や肝不全になることもあるので、十分注意が必要です。

 

 

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