広報誌 健康倶楽部/2011年2月号

肝臓の働きを高める

 肝臓は多くの働きをしています。アンモニアやアルコールなどの体にとって有害な物質を分解し解毒する、たんぱく質をアミノ酸から合成する脂肪の消化・吸収を助ける胆汁をつくる、グリコーゲンやビタミンなどを蓄え、必要に応じて血液中に放出する、などの重要な働きをしています。

 肝臓は、肝細胞がかなり広範囲に壊れても残りの細胞が肝機能を補うため、自覚症状がないまま病気が進行してしまうので、気がついたときには肝硬変などの重篤な病気が進行している場合も少なくありません。

 ですから、健康診断の血液検査では、肝臓の働きを調べ、数値で表します。

GOT(AST)…正常値10〜40IU/L
GPT(ALT)…正常値5〜40IU/L

※GOT、GPT値が高い場合は、肝磯能障害や肝炎などが疑われる

血清総ビリルビン(総ビリルビン)…正常値0.2〜1.0r/dl

※血清中のビリルビン濃度は1.5mg/L以上が異常値で、2〜2.5mg/dl以上になると黄疸があらわれます。肝炎、肝がん、胆道のがん、胆石などになるとこの数値が高くなります。

ALP…正常値 2.7〜10.0KA単位 80〜100IU/L

※ALPの数値が高値ですと、肝炎、肝硬変、肝うっ血や胆道の病気、骨軟化症、悪性腫瘍などが疑われます。

γ−GPT…正常値 0〜70IU/L

※アルコールによる肝臓障害や閉塞性黄疸の疑いが強くなります。

<肝臓に負担をかけない飲み方>

 お酒を長期間にわたって大量に飲んでいると肝臓に障害を起こします。長期にわたる飲酒が引き起こす肝障害は、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変と順番に悪くなっていきます。お酒が好きな人は、肝臓に負担をかけない飲み方を知っておきましょう。

 肝臓が日本酒1合(180ml)を分解するのに4時間かかるといわれています。アルコールを一晩で分解するには、日本酒なら2合が限度ということになります。アルコールの処理能力は個人差がありますが、二日酔いにならない程度の量を守って飲むことが大切です。

 肝臓によい肴は高たんぱく高ビタミンの食品です。アルコールを分解する酵素やウイルスを撃退する免疫物質など肝臓の働きを担う物質は、たんぱく質でできているので、たんぱく質の多い食品をとることで、肝臓の代謝機能が促進され、アルコールの代謝も進みます。また傷ついた肝臓の修復にもたんぱく質がかかせません。良質なタンパク質を多く含む食品といえば、肉・魚・大豆です。特に大豆は植物性たんぱく質で必須アミノ酸をたくさん含んでいるので、枝豆や豆腐などやビタミンの多く含まれる野菜を使った料理を肴に飲むとよいでしょう。

 また、何かを食べながら飲むという飲み方ですと、飲むスピードも自然に遅くなり、血中のアルコール濃度のピークもあまり高くならないので肝臓の負担が軽くなります。

<しじみ汁の効用>

 しじみは栄養価の高い食品です。良質なたんぱく質の証であるアミノ酸価が高く、ビタミンB2、B12、カルシウム、鉄、亜鉛なども豊富に含み、栄養バランスが抜群によい食品です。

 たんぱく質には壊れた肝細胞を修復する働きがあり、アミノ酸の一種タウリンには肝細胞の膜を丈夫にする働きがあります。

 栄養価の高いしじみは、肝臓のためには積極的にとりたい食品といえます。しじみは冷凍することで栄養価が倍以上アップするので生の新鮮なしじみを冷凍用のビニールバッグにいれて冷凍保存しておいて、しじみのエキスが十分とれるようにしじみ汁やしじみの味噌汁などにして食べましょう。

 

 

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