広報誌 健康倶楽部/2011年4月号
更年期以降の女性が、のぼせやほてりなどの様々な不調に悩まされるとともに、気になり始めているのが「血圧」の数値です。50歳以上の女性に2人に1人が高血圧と言われています。もはや、自分には関係ないとは言い切れません。
女性が閉経を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンが減少します。
エストロゲンの減少は高血圧の原因ともされています。
エストロゲンの量は脳の視床下部で調整されていますが、量が減少すると、視床下部がエストロゲンを増やすことに集中します。すると、視床下部が調整している自律神経の働きが不安定になり、自律神経によってコントロールされている血圧の数値は不安定になり、高血圧を引き起こすといわれています。
血圧改善のポイント |
1.バランスの良い食事を取ろう |
高血圧を改善するためにはまず食生活から気を配りましょう。 ただ「塩分を控える」だけではなく、バランスの良い食事を。 |
2.適度な運動をしよう |
無理な運動は禁物ですが、適度な運動は血圧を下げてくれます。 日常生活の中で出来る、負担の少ない運動から取り組みましょう。 |
3.降圧剤は出来るだけ使わない |
薬で血圧を下げるのはいざというときの最終手段です。 降圧剤には副作用のリスクがあるので、なるべく使わないようにしましょう。 |
4.タバコ、お酒は控えよう |
タバコやアルコールは血圧を上げる原因のひとつです。 禁煙をし、アルコールはほどほどに。 |
5.肥満に注意しよう |
太っている人はそれだけで病気になりやすくなってしまいます。 肥満によって高血圧や糖尿病、痛風などの危険があるので注意しましょう。 |
6.急激な温度変化に注意する |
急激な温度変化があると人間の血圧は一気に上がってしまいます。 特に高齢者は注意が必要です。 |
7.ストレスをためない |
毎日のストレスが少しずつあなたの体に負担をかけています。 ストレスによって血圧が上がるので、ストレスをうまく解消しましょう。 |
高血圧患者さんが目標とする一日の食塩量は7g!
天ぷらそばの塩分が約6gなので、1日の塩分量を7gに抑えるのは至難の業です。
日本人の塩分摂取量は、1日平均11〜12gぐらいです。
まずは、薄味の味付けに慣れることが必要です。漬物や汁物の量に気をつけ、「かけて」食べるよりも「つけて」食べることを心がけましょう。酸味をうまく取り入れると、塩分量を控えることができます。
血圧を下げる効果のある食品として、カリウム・マグネシウム・カルシウムといったミネラルを多く含む食品が良いとされています。また、これらの栄養成分以外で食物繊維にも、体内での塩分の吸収を抑える働きや、コレステロールの吸収を抑えて動脈硬化を予防するなどの効果があることから、高血圧の予防に食物繊維は欠かせません。
カリウムは尿の量を多くする働き(利尿作用)があり、そのときに体内の余分な塩分(ナトリウム)を体内に排出してくれるのです。
高血圧予防のためにカリウムを多く含む食材を積極的に取り入れましょう。
カリウムは様々な食品に含まれていますが、特に野菜、果物、いも、豆、海藻に多く含まれています。
生のままサラダに使ったり、薄味のスープ煮にしてカリウムを無駄なく摂りいれます。果物は生のまま食べられるのでカリウムを効率よくとるには最適です。
腎臓病の人はカリウムをとりすぎると排泄できないで高カリウム血症を起こすことがあるので、腎臓病で高血圧の人は医師の指示に従ってください。
マグネシウムは血圧を下げる手助けをしてくれる栄養成分です。
マグネシウムは日本人には不足しがちな栄養素です。毎日の食事で積極的にとるようにしましょう。1日にとりたいマグネシウムの摂取量は約300mgです。
カルシウムが細胞の中に取り込まれすぎると、血管を細くして高血圧となってしまいます。マグネシウムはこうしたカルシウムの細胞内への取り込みを妨げて、血圧が上昇するのを防いでくれるのです。マグネシウムは昆布、ひじきなどの海藻類や魚介類、アーモンドや落花生などのナッツ類に多く含まれています。カップめんなどのインスタント食品に多く含まれているリンはマグネシウムの吸収を妨げるので、インスタント食品をよく食べる人はマグネシウムが不足しないように気をつけてください。
腎臓病の人の場合はマグネシウムが腎臓に負担をかけることがあるので注意が必要です。
カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素です。高血圧の人はカルシウムを不足させないように毎日の食事でしっかりととりたいものです。1日のカルシウム目標量は600mgです。
カルシウムは骨をつくるミネラルとして知られていますが、血圧の上昇を抑え血圧を安定させる働きがあります。食塩の主成分ナトリウムと互いの作用を消しあう関係で、両者が腎臓の尿細管にあると互いに再吸収を妨げあい、ナトリウムの排泄を促進してくれるのです。
カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、大豆、緑黄色野菜などに多く含まれており、特に牛乳や乳製品の含まれるカルシウムは体内への吸収率が高いです。
高血圧になると頭痛が起こりやすい、とりわけ起床直後に起こりやすいといわれています。起床直後に起きやすい頭痛の原因は、睡眠中に脳に蓄積された炭酸ガスを排出しようとして脳の血管が急に広がるからと考えられています。頭痛といってもさまざまですが、初期の高血圧の場合は後頭部が痛いとか重いといった表現をするようです。また、自分が高血圧であることを知っているかどうかも影響するようです。同等の高血圧でも、自分が高血圧と知らない場合は頭痛を訴える頻度が低いといわれています。自分が高血圧と知っている場合の頭痛は心因性の頭痛が多いと考えられます。
高血圧でない人でも頭痛とは無縁ではありません。高血圧症でない正常血圧の人でも血圧が急上昇すると頭痛が起こることがあるといわれていますし、血圧上昇後の血圧が正常値であっても血圧の変動幅が大きければ頭痛が起こりやすいといわれています。ただし、高血圧の頭痛には稀に危険な場合がありますから、頭痛が続くならば病院で診てもらうことをおすすめします。特に注意したい頭痛としては、朝や寝起きに痛む頭痛、突然の激しい痛みで吐き気を伴う頭痛、手足の瘤れや麻痺を伴う頭痛です。
特に主婦の場合は、会社で健康診断を受ける機会がなく、高血圧に気付きにくい状況にあります。
血圧が高めになっても、「どうせ更年期の症状だ」と自己判断しがちです。
特に重篤な症状も出ていないのに、健康診断に行くのはわずらわしくもありますが、自分の血圧の数値を知り、自分がどのレベルなのかを知ることは大切なのです。