広報誌 健康倶楽部/2011年4月号

生活習慣病の高尿酸血症

 尿酸が過剰につくられたり、腎臓での排泄が不良になって、尿酸濃度が高くなり、7.0mg/dl以上になると「高尿酸血症」と呼ばれます。

 尿酸塩(尿酸の結晶)が関節などに沈着すると一晩のうちに関節が痛くて歩けないほど真っ赤に腫れる急性関節炎、いわゆる痛風をおこします。

 最近日本では、生活習慣の乱れから、内臓脂肪型肥満が増加し、高脂血症、糖尿病、高血圧症などが増えています。同時に尿酸値も上がりやすくなります。しかし、とくに肥満はなく、あまりお酒も飲まないのに痛風になる人は、痛風の体質をもつ人で、家系に痛風の人、尿酸値の高い人がたいてい見つかります。このような人は、尿酸値が高くなったら薬で治療するのが良いでしょう。

 生活習慣の乱れから、内臓脂肪がたまり、メタボリックシンドロームになりやすい人、なった人は、もともと痛風の体質がなくても尿酸値が上昇しやすくなっているのです。このような生活習慣病の高尿酸血症は、メタボリックシンドロームが迫っている、あるいはそうなってしまったという危険を知らせるサインといえます。尿酸値が高いといわれたら、食生活の改善と運動不足にならないように気をつけましょう。

<食事の改善>

@脂肪の多い食品、油を使った料理を控える

Aアルコールを飲み過ぎない

Bプリン体をとりすぎない

C野菜や海藻などを積極的に摂る

D早食い・ドカ食いをしない

<高尿酸血症の治療>

 尿酸を下げる治療では、内臓脂肪を減らす生活習慣の改善を行うことが重要になります。痛風発作や尿路結石がある人は、血清尿酸値8.0mg/dlを超えたら、または痛風発作や結石がまったくなくても9.0mg/dlを超えていたら尿酸値を下げる薬での治療が必要となります。

 「痛風」といえばプリン体の制限に気をとられがちですが、食べる量全体を減らすとプリン体の量も減るので、そればかりに気をとられず、食事内容がバランスが良いか見直しましょう。  プリン体が多い食品は、連続してたくさん食べないようにしましょう。

食品100gあたりの総プリン体含有量(mg)
食品 含有量 食品 含有量
煮干し 746 鶏肉レバー 312
かつお節 493 豚肉レバー 284
干し椎茸 379 牛肉レバー 219
カツオ 211 イワシ干物 305
クルマエビ 195 サンマ干物 208

<痛風によって起こる合併症>

 痛風は血液に関連する病気でもあるため、血液の濾過を行っている腎臓に大きな負担をかけます。特に痛風の症状を起こす尿酸は腎臓で処理されるため、腎機能障害を発症しやすくなります。痛風によって起こる腎臓の機能障害を「痛風腎」と言って、合併症の原因となっています。

 高脂血症

 痛風の患者さんによくみられる合併症の一つです。肉などの高脂肪食品を好んで食べる習慣がある人に、痛風と高脂血症が同時に発症することが多くあります。

 尿路結石

 痛風の患者さんの約30%に尿路結石が起こるといわれています。健康な人と比較すると、痛風の患者さんは1000倍も尿路結石にかかりやすいといわれています。

   肥満

 高尿酸血症の背景には、過食やお酒の飲みすぎが関与していることが多く、痛風の患者さんの50〜80%は肥満しています。肥満度が高まるにつれて、高尿酸血症の頻度が高くなることも明らかになっています。高尿酸血症に限らず、生活習慣病と言われる病気は肥満が悪影響をおよぼすので、自分の体重の管理が必要です。

 

※痛風の合併症は腎臓障害の他にも、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病と深い関わりがあります。適切な治療を受け、同時に食生活を改善し、適度な運動をすることも重要です。

 

 

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