広報誌 健康倶楽部/2011年5月号

気になるむくみ(浮腫)の原因

 むくみ(浮腫)とは、細胞と細胞の間の水が、異常に増加した状態を言います。朝起きて鏡を見ると顔が腫れぼったい、夕方になると下肢がむくんで靴が窮屈になる、急に体重が増えたなどの症状が現れます。

 体重が増えても、むくみと肥満ではその成り立ちは全く違います。むくみは体の水分が異常に増加した状態であって、肥満は脂肪分が増えることです。区別するにはむくんでいると思う部分(特に足のすね)を強く指で押してみてください。

 指の形にへこみができればむくみです。肥満の場合はこのようなへこみはできません。ひどいむくみは3〜4日で10kgも体重が増加することもありますが、肥満の場合はここまで極端な体重増加はありません。

 足のむくみの原因は、立ち仕事やデスクワークなどで同じ姿勢をとり続けていた場合、全身の血行が悪くなり、さらに重力の影響で身体に不要な水分が下半身にたまってしまうからです。きつい下着を着けてもその部分の血行が妨げられ、身体の血流がスムーズにいかずに足がむくみやすくなります。

 特に女性は、生理になると女性ホルモンの分泌量が増え、血管が拡張されるために足がむくみやすくなります。

 顔のむくみの原因は、顔の皮膚の下の組織に水分がたまったことがむくみの原因です。水分は高いところから低いところへ流れるので、朝起きた時が一番むくみが見られます。また、前日にビールやワイン、日本酒などのアルコールをたくさん飲み過ぎると血液中のアルコール濃度が高くなり、血管が拡張して静脈やリンパによる水分の処理がうまくいかなくなるのでむくみやすくなります。

<重症のむくみ>

 立ち仕事が続いた後の一時的な足のむくみやアルコールを飲み過ぎた翌朝の顔のむくみなどとは違い全身がむくむような重症のむくみの場合は、足や顔だけではなく、内臓全体がむくみ、内臓がうまく機能しなくなってしまいます。

 特に、肺がむくむと呼吸困難を起こし、重篤な場合は生命を危険にさらすこともあります。

<むくみがでる病気>

 むくみがでると、まず腎臓の病気を疑います。むくみがでる原因として腎臓病は最も多く、むくみが出たら腎臓に異常がないか調べる必要があります。

 腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症の初期では、最初に顔が腫れぼったくなったり、まぶたに浮腫が見られることが多くなります。

 そのほか、慢性甲状腺炎(橋本病)では、甲状腺がごつごつ腫れたり、体重の増加、むくみなどがみられますし、心不全、肝硬変、妊娠高血圧症候群、薬剤の使用(ステロイドやホルモン剤など)などでもむくみがみられます。

 ですから、むくみは放置せずに一度検査を受けることが大切です。

 

一時的なむくみの解消法としては、下記のような方法があります。

・マッサージでほぐす

・お風呂などでよく暖める

・一定の姿勢をとらないでこまめに体を動かす

・顔のむくみには冷水・温水で交互に顔を洗うなど血行を改善する

・運動をして筋肉、基礎代謝を上げる

・食事改善でビタミン、ミネラルをきちんと取る

 また、むくみに効く食べ物として、利尿作用のあるウリ科の食べ物(すいか、きゅうり、冬瓜など)、カリウムを多く含む食べ物(バナナ、りんご、昆布など)ビタミンB1を多く含む食べ物(豚肉、豆腐、小豆、かぼちゃなど)、特にあずきは、利尿作用のあるサポニンが多く含まれているので昔から効果的と言われています。

 

 

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