広報誌 健康倶楽部/2011年6月号
私たちの体の半分以上は水分です。体の水分量は赤ちゃんは70〜80%あるのに比べ、高齢者は約50%になっています。高齢者はちょっとしたことでも脱水を起こしやすい状態です。高齢者は脱水症を起こしやすい背景には次のようなことが関係しています。
1.加齢に伴う細胞内水分量の減少
2.代謝水の産生低下
3.水分摂取量の減少
4.体調不良での下痢や嘔吐などによる水分の排出
5.のどが渇かないなど水分不足を認識する機能が衰える
このように高齢者は脱水を起こしやすいので注意が必要です。
脱水の症状は、皮膚や口唇、舌の乾燥、皮膚の弾力性低下、微熱、食欲低下、易疲労感、脱力、立ちくらみ、意識障害、血圧低下、頻脈などです。
高齢者の場合は何となく元気がない、ぐったりして反応が鈍いというような意識の鈍化がみられる場合にも脱水の可能性があります。また、意識の混濁(脱水性せん妄)や失神を起こす場合も少なくありません。特に高齢になればなるほど脱水状態の時間や程度が進むと重症化しやすいので、より少しでも早期に脱水症状を発見することが大切です。
成人の場合、食事も含めて少なくとも1日に2.5リットル以上の水分を補給する必要があると言われています。
しかし、高齢者は飲み物だけで補うのは困難で、水分量の多い食事を心がけることも大切です。
◆手近に飲み物を常備し、いつでもすぐに飲めるようにしておく。
◆嚥下機能障害がある高齢者の場合は食事以外にもお茶を飲む時間を定期的に作ることで水分補給を促しましょう。
◆下痢や嘔吐、多量の発汗がある時は、水分だけでなく電解質も失っているので、イオン飲料を摂取したほうが望ましいです。
◆食事に必ず汁物をつけるなどの工夫をしましょう。
◆食欲がおちていませんか?食事がとれない時は注意。
◆下痢や嘔吐をしている。
◆発熱が続くとき。
◆排尿の回数や量が減った。
◆わきの下が乾いている。
※脱水が疑われる時はすぐに医師に相談しましょう。