広報誌 健康倶楽部/2011年7月号

子どもの食物アレルギー

食物を摂取することでアレルギー症状が出る場合を食物アレルギーといいます。アレルギー反応により口唇、口腔粘膜の接触皮膚炎様の症状から気管支喘息やじん麻疹、胃腸障害を引き起こすものまで様々なアレルギー症状がみられます。時には生命にかかわる急激な全身のアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こす場合もあります。卵、牛乳、大豆、小麦、米が五大食物アレルゲンと呼ばれており、その他、そば、えび、カニ、イカ、タコ、バナナ、キウイフルーツ、びわ、ピーナッツなどでアレルギーを起こしやすいといえます。

厚生労働省の調査によると、食べ物が原因で1時間以内に、じん麻疹などの症状を起こす「即時型食物アレルギー」で医療機関を受診する患者さんの8割近くが6歳以下の乳幼児で、大人も含めた患者さんの10人に1人が命に関わるショック症状に陥ることがわかっており、乳幼児の原因食品の上位は卵、乳製品、小麦となっています。

<食物アレルギーの検査>

食物アレルギーの診断は病歴、アレルゲン検査、食物除去試験、食物負荷試験によって行われます。原因食物が何であるか、どれくらいの量ならば食べられるのかなどにもよって治療法も異なってくるので、正確な判断が必要です。自己判断するのではなく、医療機関を受診し、食べたものや症状を伝え、検査をしてもらいましょう。

食物アレルギーにより引き起こされる症状

〈皮膚粘膜症状〉

〈消化器症状〉

〈呼吸器症状〉

〈全身性症状〉

診察時には医師に正確な情報を伝えることが重要

※食物日誌をつけて、毎日の食事やおやつなど、食べたものを把握できるようにしておくと便利です。

<血液一般検査>

IgE抗体などを調べて、特定の食物にアレルギーを起こしやすいかどうかを確認します。

<皮膚テスト(即時型ブリックテスト)>

血液検査と同様に、特定の食物にアレルギーを起こしやすいかどうかを確認します。疑いのある食物から抽出したエキスを、皮膚につけて反応を観察します。皮膚反応が強い場合は、その食物を摂取したときに症状をより誘発しやすく、原因である可能性が高いと判断されます。

<食物除去試験>

疑いのある原因食物を1〜2週間摂取しないようにして、症状が治まるかどうかを調べます。

<食物負荷試験>

疑いのある食物を摂取してみて、実際に症状が現れるのか検査をし、原因食物を明らかにしたり、除去を続ける必要があるのかを調べるための重要な検査です。

<日常生活での食物アレルギーの注意点>

日常生活では、アレルゲン食品を食べないようにしなければなりません。特に、保育園、幼稚園、学校の給食に注意しなければなりません。除去食療法を行っている場合は、保育園、幼稚園、学校に除去食の対応について相談しましょう。

外食する場合は、メニューを選ぶときにアレルゲンとなる食品が使われていないか十分確認しましょう。調理場ではアレルゲン食品を一緒に扱っていることが多いため、混入する危険性もあります。

特にアナフィラキシーショックを起こしたことがある人は、少量でも症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

<離乳食と食物アレルギー>

子どもが生後6ヵ月くらいから離乳食をはじめる頃に食物アレルギーに気づくことが多いです。

初めての食材を与えるときは気をつける必要があります。

初めての食材はスプーン1さじから与えるようにし、食べた後は少し様子を見て、機嫌が悪くないか、発疹がてていないか、下痢をしていないかを確認するようにしましょう。卵や牛乳などを与えるのは1歳を過ぎた頃が良いといわれています。万が一、離乳食中に食物アレルギーがでた場合、離乳食をあげている最中にいつもと様子がおかしいと感じたら食べさせるのを中止して下さい。軽い発疹や機嫌が悪い感じなら少し様子を見ていてもかまいませんが、ぐったりしたり、呼吸がおかしくなったりした場合はすぐに病院へ行く必要があります。特に卵、牛乳、大豆、小麦を使った離乳食を与えている時は注意をし、様子を観察する必要があります。

 

 

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