広報誌 健康倶楽部/2011年7月号

知っておきたいあごの病気 顎関節症

<あごが「カクカク」これって…>

顎関節症は、あごの関節とその周辺にさまざまな症状があらわれる病気で、代表的な症状は、「あごを動かすと痛い、カクカク音がする」です。あごの周辺の筋肉は、頭(側頭筋)や首、肩などの筋肉とも連動するため、頭痛や肩こりなどの症状にもつながります。また、耳の痛みや目の疲れとなってあらわれることもあります。

あごの関節は、左右一対で下あごを動かすときに使う関節。顎関節症は、その関節の骨の間のクッションの役目を果たしている関節円板という組織の位置が何らかの原因でずれてしまったり、変形してしまったために起こる場合があります。

あごの関節周辺の筋肉が歯ぎしりなどで過剰に緊張し、痛みを生じる場合もあります。ほかに、関節をつくっている骨が変形するタイプもありますが、ごくまれです。

日本顎咬合学会の調査によると、歯科医院を受診する患者の1割以上にこの病気がみられ、男女比では女性に多く、約2倍に相当、とくに20代〜30代の女性に多いことがわかっています。 時々あごがカクカクする、だるいなど、日常生活にさほど支障のない程度のものを含めると、かなりの数に上ると考えられています。

<いくつかの原因がある>

顎関節症の発症には、さまざまな原因が関係しており、ひとつの原因というよりは、いくつかの原因が複合的に絡み合っている場合が、多くみられます。

堅いものを食べない食生活の影響で、あごの発達か不充分なことや、精神的なストレスが影響していることが多いようです。ストレスがたまって緊張状態が続くと、筋肉も緊張し、あごやその周辺に負担がかかり、症状を引き起こします。

普段から姿勢が悪い、高すぎる枕を使っている、ガムをかみすぎるなど、いつもの何気ない生活習慣からあごの関節や筋肉に負担がかかっているケースもよくみられます。

また、虫歯治療後に詰めたものが高すぎて、かみ合わせか悪くなったり、親知らずが変な位置に生えてしまったりしたことか原因の場合もあります。原因がわからないまま放置すると、□が開かなくなるほどまで悪化してしまう可能性もありますから、不具合を感じたら、まずは、かかりつけの歯科医院を受診しましょう。よほど特殊なケースでないかぎり、一般の歯科医院でも治療できることが多いようです。そこで対応できない場合には、口腔外科などを紹介してもらいますが、外科手術などの大がかりな治療が行われることは、ほとんどありません。

<治療の第一歩>

歯科医院では、まず症状や生活習慣などについて詳しく問診を行ったあと、レントゲン撮影、かみ合わせのチェックなどを行います。治療の第一選択はスプリント療法といって、プラスチック製のプレートを使って、あごの関節にかかる負担を軽減する方法です。歯型をとって、歯の形に沿ったプレートを作成、夜眠っている間や食後しばらく会話をしないときなどに装着します。プレートを使用してみて違和感がある場合には、調整していきます。痛みがひどい場合には、鎮痛剤が処方されます。

こうした治療と同時に、生活習慣の改善を行うことも不可欠。ストレスをため込まないよう、一日の中でリラックスできる時間をつくるよう心がけ、悪い姿勢やガムのかみすぎなど、あごに負担がかかるような悪い習慣があった場合には改善するように、ひとつずつ原因を取り除いていくことが大切です。

 

 

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