広報誌 健康倶楽部/2011年8月号
皆さんご存知のとおり、食塩をとり過ぎると血圧を上げることは、多くの研究や統計などから指摘されてきました。とはいうものの、この食塩による血圧上昇の程度には個人差があって、食塩を多くとっても全く血圧が上がらない人もいます。しかし、食塩をとり過ぎると高血圧だけではなく、胃がんになりやすかったり、体に良いことはありません。
減塩をすることによって、心臓の病気やたんぱく尿の程度を軽くしたり、動脈の柔軟性を高める、降圧薬の効果を高めるなどの効果が得られます。
2005年版の日本人の食事摂取基準において、日本人成人に勧められている1日の塩分摂取の目標値は男性10g未満女性8g未満ですが、高血圧患者ではもっと厳しくて、日本高血圧学会の定めた目標では1日6g未満となっています。
高血圧治療ガイドラインでは、血圧がやや高めだが高血圧の基準に達しない「正常高値」の人でも糖尿病など他の危険因子があれば、高血圧患者と同様の生活習慣の改善や治療が必要としています。
現在、正常高値は最高血圧130〜139、最低血圧85〜89と定めています。しかし、最近の研究で低めの血圧でも脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性が高いことが分かり、学会は見直しに着手しました。新指針によると、若年・中年者(15〜64歳)の目標血圧は最高130、最低85未満とし、高齢者(65歳以上)は最高140、最低90未満と設定しています。また、糖尿病や心筋梗塞後の患者では最低血圧が80未満と厳しい目標にし、正常高値の人でもメタボリックシンドロームや喫煙など、血圧以外の危険因子が1〜2個ある人は「中等リスク」と位置付けています。
危険因子が3個以上か糖尿病や慢性腎臓病など他の病気がある人は「高リスク」として、すぐに降圧薬による治療が必要になります。
インスタントラーメンやレトルト製品はとても便利ですが、これらのインスタント食品は、添加物や化学調味料などが数十種類含まれており、食べ過ぎると生活習慣病を引き起こす原因になります。高血圧などの塩分を控えなければならない人にとって注意しなければならないのが外食です。
塩分が少なく、栄養バランスを考えてあるメニューを選ぶようにしましょう。
かけそば、ラーメン、かつ丼、にぎり寿司、カレーライス、うな重、天ぷらそば、冷やし中華、にゅうめんなど
ビーフシチュー、野菜のサンドウィッチ、ピビンパ、ペペロンチーノ・中華丼・グラタン・ポークピカタなど
〈カリウム〉
高血圧の改善に役立つ栄養素としてまず挙げられるのがカリウムです。カリウムが血圧を降下させると言われるのは、血圧上昇の原因のひとつであるナトリウムの排泄を促す働きがあるからです。カリウムは緑黄色野菜や果物、海藻などに多く含まれています。
カリウムは通常、多く摂取しても余剰の分は体外へ排出されます。健康な人であれば大目に摂取しても問題ありません。
〈ラクトトリペプチド〉
ラクトトリペプチドとは、健康食品、特定保健用食品(トクホ)などに用いられている栄養素で、動脈硬化を抑え血圧を下げる効果が期待されています。
〈DHA・EPA〉
DHA・EPAはn-3脂肪酸、不飽和脂肪酸と呼ばれ、青背の魚などに多く含まれています。中性脂肪値を下げる働きがあり、心臓疾患のリスクを低下させることも期待できます。
〈テアニン〉
お茶に含まれる栄養素で、興奮・緊張を抑える働きがあり、疲労回復にも効果があり、高血圧の改善も期待できる栄養素です。
高血圧症またはその予備軍であっても、その自覚症状がほとんどないというのが高血圧症の特徴です。
高血圧症の怖いところは、様々な合併症を引き起こします。高血圧を放置していると、重篤な合併症を引き起こすことになります。合併症として代表的なものに動脈硬化、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、糖尿病、心肥大、腎不全などがあります。早期に発見し、早期治療を心がけて下さい。