広報誌 健康倶楽部/2011年8月号
糖尿病は自覚症状がない病気なので、健康診断で見つかることが多い病気です。ふつう健康診断は空腹時に採血・採尿し検査します。
朝食を抜いた空腹時の血液検査で血糖値を測定し、糖尿病を診断します。
食事2時間血糖値とは食べ始めから2時間後の血糖値のことです。近年では空腹時血糖値よりも重要視されています。
糖尿病の「三大合併症」とは、「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病性神経障害」のことをいいます。
三大合併症の主な原因としては、高血糖による血管障害と神経障害です。自覚症状が現れにくい糖尿病が悪化したまま長年放置していると、気づいた頃には合併症を併発し、動脈硬化や網膜症、腎症、神経障害、感染症、壊疽などという危険な病気も生じる可能性が大きくなります。
〈糖尿病性網膜症〉
糖尿病性網膜症は、糖尿病による毛細血管の病変から始まる病態です。出血を起こしたり、悪化すると、網膜剥離、最悪の場合は失明に至ります。
〈糖尿病性腎症〉
糖尿病性腎症とは、腎臓に障害が出る病気です。腎臓の糸球体と呼ばれる細かい血管の集まったところに障害が起こり、腎臓の機能が低下し、最悪の場合、腎臓の機能が停止してしまい、透析療法が必要になります。
〈糖尿病性神経障害〉
合併症の中で最も早く出てくるのが神経障害です。知覚障害や手足のしびれ、感覚の鈍麻、自律神経障害、眼神経障害、運動神経障害などの症状が現れます。他の病気と同じような症状が多いために、神経障害に気づきにくい人もいますが、早期に検査を受けましょう。
〈妊娠糖尿病〉
妊娠糖尿病は、妊娠をきっかけに糖尿病の症状(血糖値が高くなる)が発症することをいいます。妊娠中に糖尿病の症状を発症するのが「妊娠糖尿病」で、もともと糖尿病を患っている人が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といいます。
この病気にかかると、妊娠中毒症、妊娠高血圧症候群や羊水過多症、感染症などを引き起こしやすくなります。
また、赤ちゃんの方に移行した糖は脂肪として蓄えられるため、巨大児(4000g以上)が生まれる可能性があり、自然分娩が難しく、難産になったり、帝王切開になる場合があります。妊娠糖尿病になった妊娠は出産後は正常にもどるとはいえ、約半数は10〜20年後にまた糖尿病を発症するといわれています。妊娠すると胎盤から出るホルモンによってインスリンの作用が弱まります。しがたって妊娠中は普段よりも多くの量のインスリンが必要とされますが、その量が足りないと糖尿病を発病する場合があるのです。
妊娠糖尿病は比較的軽症で済むことが多く、食事療法と運動に気をつけていれば問題なく出産できますが、糖尿病合併症妊娠は重症になりやすいため、医師の管理のもと、血糖値コントロールが必要です。