広報誌 健康倶楽部/2011年10月号

『介護疲れ』の予防と解消法

介護は社会問題のひとつです。在宅看護となると一日のほとんどを介護に費やすことになってしまいます。実際に介護を苦にして悲惨な事件がおこることも少なくないのです。毎日介護に追われる生活を続けていれば、心身ともに疲れが溜まるのは仕方が無いことですが、介護によって介護する側が健康を損ねるというのは悲しいことです。介護疲れの予防や解消法を知っておきましょう。

介護をしていると、つい無理をしてしまいます。あれもこれもしてあげなくてはならないとがんばりすぎることによって、疲れやストレスがたまります。

自分ひとりで抱え込まない

全ての介護を自分ひとりで抱え込むのはいけません。介護はいつまでと期限があるわけではありませんから、最初から何もかも自分でやろうとすると心身が疲れ果ててしまいます。家族で介護するときは役割分担をし、主に介護に係わる人は一週間に一日は介護から開放される日を作るようにしましよう。

また、介護サービスを利用することで自由な時間を確保することも大切なことです。 介護は家族全員の協力が必要といえます。

介護のテクニックを身につける

介護のテクニックを身につけるのと、行き当たりばったりで介護をするのとでは疲労や時間的余裕がずいぶん変わってくるものです。介護にかかる労力を軽減し、効率よくするには何より介護のテクニックをマスターすることです。各自治体の介護支援センターや、保健所で介護のための講座を開催しているときがあるので、受講してみるのもオススメです。

愚痴や悩みを
相談できる相手をみつける

同じ境遇の人や、近所のお友達など話し相手がいると相談したり話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になるものです。身内同士で愚痴を言い合うとどうしても話が煮詰まってしまうので、できれば家の外に相談相手がいると心強いものです。

家の中を
介護しやすい環境に整える

家の中の介護する環境を整えることで、介護者の負担を軽減することができます。段差の無いバリアフリーは理想ですが、改築の費用はばかになりません。

浴室やトイレなど要所要所だけでも介護しやすいように改善をすると良いでしょう。ベッドやポータブルトイレ、車イスなどの介護用品を取り入れるようにすると介護しやすくなります。

<介護者がストレスをためないためには>

<介護サービスの活用>

介護を一人で抱え込むと、いずれ介護そのものが成立しなくなります。より良い介護をするには、介護をする人が心身健康であることが基本です。心身健康で介護を長続きさせるためにも、各種の介護サービスを活用しましょう。

※介護サービスの内容は、自治体で異なるので市区町村に問い合わせてください。

<介護を担う人の切実な悩み>

●母親(80才)の介護をしています。母は脳卒中の後遺症でマヒがあるため、一日のほとんどをベッドですごしています。同じ姿勢で寝ていると体が痛むので、数十分おきに体の向きを変えたり、体をさすってやったりと、とても大変です。私も腰痛や肩こり、頭痛などがあり、自分の健康に自信がありません。兄弟は遠方に住んでいるので頼ることができません。毎日不安がはなれず、生活に余裕がなくてどうにかなってしまいそうです。

母親の介護を娘が一人で担うケースはめずらしくはないのですが、このケースのように兄弟がいるけれども遠方で頼れないと思っている人が多いです。毎日の介護がどれだけ大変なことなのかは兄弟たちも想像がついているはずです。

家族に甘え、頼ることは決して悪いことではありません。例えば1ヶ月に数回介護を交代してもらってはどうですか。一日でも介護から離れて休息をとることをおすすめします。自分の体調を家族にうちあけて協力してもらいましょう。

●介護はとても大変で、近所の人にも話を聞いてもらったりしますが、「そんなにがんばらなくても」とか、「もっと手を抜いてもいいんじゃない」とか言われるのです。やはり自分の親なので手を抜くこともできず完壁にしようと無理をしてしまいます。私が病気になってしまってはいけないとは思うのですが、出口の見えない介護に不安がつのります。

介護には期限がありません。長く介護を続けるには、無理なく自分にできることをする、介護サービスなどを利用するなどをして休息の時間や自由な時間を確保することです。そうすることで自分の気持ちにゆとりができ、より良い介護に繋がります。あなたが病気になってしまっては、元も子もありません。

●父の介護を老齢の母が一人でしています。娘の私も兄も遠方に住んでいるため、なかなか手伝いにいけません。母も疲れているようですが、人の世話になるのが嫌なようで、何もかも自分でしています。毎日が後ろめたい気持ちになり、どんどん両親との距離が広がってしまうような気がします。

遠方に住んでいると心配が重なりますね。できるだけ実家に足を運び、お母さんの話を聞いてあげるだけでもいいと思うのです。それが無理なら時々電話をしたり、ねぎらいの手紙を出すなど、遠くに住んでいてもお母さんをサポートすることは出来ます。あなたの声を聞くだけでも安心なさると思います。

 

 

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