広報誌 健康倶楽部/2011年10月号

働き盛りにあらわれる男性の更年期障害

更年期障害というと女性特有のものと思われがちですが、男性にも更年期障害があります。

男性の更年期障害の原因で一番大きな要因が【加齢による男性ホルモン(テストステロン)の減少】です。

このホルモンを調節する脳の視床下部は、同時に自律神経の中枢でもあります。男性ホルモン(テストステロン)の減少が急激だと自律神経のバランスを崩し、心身に様々な不調が現れます。

40代〜60代の働き盛りの人に発症します。特に性格が几帳面でまじめ、責任感が強い人、運動不足の人、ストレスをためやすい人が更年期障害が起こりやすいと言われています。

<男性の更年期障害の症状>

男性の更年期障害の症状としては、うつ症状、前立腺疾患、性欲の低下などがあげられます。

うつ症状

気分が落ち込む、不安感、集中力がない、不眠などの症状が起こってきます。不安感や気分の落ち込みから何もする気がなくなったり、何かをしたいと思っても思うように体が動かないという状況になってしまいます。

前立腺疾患

男性の更年期障害の症状としてよくみられるのが、前立腺の疾患です。前立腺に影響が出ると、頻尿、残尿感、会陰部の不快感、性欲低下などの症状が現れます。

<男性の更年期障害の特徴>

男性の更年期障害の特徴といえるのが、原因不明の倦怠感です。男性ホルモン(テストステロン)は、疲労回復やヤル気を起こさせたりする作用のあるホルモンなので、テストステロンの分泌が減少することで、倦怠感が生じるのです。

また、異常な発汗や、突然のうつ症状なども男性更年期障害にありがちな症状です。気になる症状があるなら、放置せずに医師に相談して下さい。


<男性更年期障害の治療>

男性更年期障害を疑う症状が現れたら、「何科」を受診すればいいのか迷う人も多いと思いますが、男性更年期専門の外来がなければ、症状に合わせて受診します。例えば、前立腺の症状が出ている場合は、泌尿器科、うつの症状があれば心療内科や精神科を受診します。

病院では、症状にあった治療をしますが、男性更年期の治療は、男性ホルモン補充療法や漢方、ED治療薬などがあげられます。男性ホルモン補充療法は、減少した男性ホルモンを注射によって補充する治療法ですが、前立腺がんの治療中の人や重度の前立腺肥大の人は男性ホルモン補充療法を受けられません。

漢方薬での治療は副作用が少なく、高い有効性が認められています。症状にあった漢方薬を処方してくれます。

予防と改善のためには、食事・運動・睡眠を見直しましょう。まずバランスがとれた和食中心の食事を。山芋・納豆・オクラなどネバネバした食品は男性更年期に多い前立腺疾患におすすめです。また、テストステロンの活性には運動が大切です。時間がない人は毎日とにかく早歩きを。日中よく体を動かせば、夜はぐっすり眠れるでしょう。

それでも気になったら我慢は禁物。早めに医師に相談し、テストステロンの検査をしましょう。異常があればホルモン補充療法などの治療があります。

そして何より大切なのは、パートナーの支え。「つらい症状だけど更年期ならばいつかは終わる。人生にはこんな時期もあるのだ」とお互いの更年期を理解し合い、おおらかな気持ちで接したいものです。会話やスキンシップを大切にし、夢中になれる共通の趣味をもつことが最高の治療になります。

 

 

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