広報誌 健康倶楽部/2011年10月号
パーキンソン病のパーキンソンとは、イギリスの臨床医の名前から名づけられました。現在最もよく研究されている難病のひとつで、原因は今のところ残念ながら解っていませんが、たくさんの治療法が開発され、パーキンソン病は治療と療養により症状を改善させたり、進行を遅らせることのできる疾患です。
患者さんの数は10万人に50人〜10O人と言われており、発病はほとんどが初老期(50歳台後半)で、一部が若年発病(40歳以前)です。
手足のふるえ、動作緩慢、筋肉のこわばりが主です。その他、発語障害(どもる、小声)、指の細い運動の障害、歩行障害(最初の一歩が踏み出せない、歩き出すと、トットットッと止まらなくなる、小刻みな歩行、腕振りの消失、突進歩行、前かがみなど)、精神症状(うつ状態、反応が遅い)などがあります。
治療が進歩し、寿命は一般平均とほとんど変わらなくなっており、症状の経過は人それぞれですが、発病後10年程で少し介助が必要になる人が半数と、ごくゆっくりした経過をたどるようです。
病期を5段階とした場合、
1期…手足の片側のみの症状の時期
2期…手足の両側に症状があるが、普通の生活を送れる
3期…姿勢のバランスが崩れた時、よろめいたりこけたりする
4期…歩行に介助が必要になる
5期…車椅子が必要
※3期以上では医療費の公費負担制度があります。管轄の保健所へ申請することができます。
原因不明とはいえ、脳の中の神経伝達物質の一つ「ドーパミン」という物質がパーキンソン病では早く減少してしまうことが分かってきています。ドーパミン補充療法や、ドーパミン放出薬などを治療法として取り入れられられています。
パーキンソン病患者の療養は、病状によって異なりますが、療養のポイントを知り、社会生活の低下を防ぐことや、体と心をゆたかに保てるように心掛けることが大切です。
○病気を理解し、主治医のアドバイスに耳を傾け、治療に積極的であるようにする
○手足がふるえることや、動作が遅いことを気にしすぎない
○日常生活を積極的にこなす
○他に疾患がない場合は特別の食事療法は不要ですが、栄養バランスが良い食事を
○病気、保健、福祉サービスなどの情報を入手しましょう
○運動、リハビリは歩行や動作の安定の上で日課にして下さい。疲れない程度で規則正しく行いましょう。
○病まない心を持つことが大切。それには家族やまわりの人たちとのふれあいや思いやり、はげましあいが必要です。
○体の動きに限界があるものもありますが、変化を受け入れ、自分でできることに目を向けることが大切。
○病気を治療するうえで大切なのは「絶対に良くなる」という自信です。前向きになりましょう。
○趣味や社会参加を積極的に。
パーキンソン病がある程度経過していくと、体の動きや社会生活が低下してしまいますが、気持ちの持ちようで生活が明るくも暗くもなり得ます。日々患者さんを目にすると、動きが低下しても毎日笑顔で明るく過ごされている方は、家族の人も笑顔が多く、一緒に娯楽や趣味を楽しんでおられますし、そのまま仕事を続けられている方もいます。同じ病気を持った人たちの交流会なども地域で行われている場合もありますので参加してみるのもよいでしょう。