広報誌 健康倶楽部/2011年12月号

高齢者の「口腔ケア」

高齢になると口の中のケアは見落とされがちですが、口の中を不衛生にしておくと唾液や飲食物が誤って気管に入った際、口内にあった歯周病菌をはじめ、様々な菌が一緒に肺に入り込んでしまうことで抵抗力の弱い高齢者は肺炎を起こしやすくなります。

こうした誤嚥性肺炎によって、生命が危険にさらされる可能性もあります。また、認知症を発症している人や、何らかの病気で口の機能が低下している人は、咀嚼や嚥下がうまくできなくなり、食べ物や飲み物、唾液が詰まって窒息してしまう事故も増加しています。

日本人の三大疾病はがん、心疾患、脳血管疾患ですが、65歳以上になるとこれに次いで死因の第4位を占めるのが肺炎です。肺炎は細菌やウイルス、マイコプラズマなどの微生物が感染して炎症が起こる病気です。高齢者にとっては注意すべき病気です。

誤嚥性肺炎もそのひとつです。

きちんと口腔ケアをすることで、歯周病を防ぎ、肺炎の原因となりやすい常在菌を減らすことによって誤嚥性肺炎のリスクを低下させることができます。

<歯みがきの介助>

□の中に歯ブラシを入れるのを嫌がる場合は、市販されている「口腔ケア用スポンジ」を試してみるとよいでしょう。簡単で、驚くほどきれいに口の中を掃除することができます。柔らかいので□の中に入れる抵抗感が少なく、歯ブラシより口の中を傷つけることも少ないといえます。小児用の小さなブラシを使うのも良い方法です。丁寧にやさしく磨いてあげるのがポイントです。

自分で磨けるときは時間がかかってもできるだけ自分で磨いてもらいましょう。全ての介護にいえることですが、「自分でできることは自分でしてもらう」。リハビリにもなりますし、生きる意欲につながります。

<入れ歯の手入れ>

入れ歯は、つけっぱなしにすると、細菌が繁殖したり、歯茎が充血して炎症を起こすことがあります。夜は、必ず外して水を入れた専用の容器に入れておきます。入れ歯が乾くと変形してはめにくくなることもあります。逆に入れ歯を外しっぱなしにすると、歯茎がやせて合わなくなるので気を付けましょう。

<認知症の人の「口腔ケア」>

認知症が進行すると、歯科で診察を受けることが認知できなくなるため、口を開けないなど治療するのが困難になります。

認知症と診断されたら、早い段階で歯科を受診し、虫歯の治療や口腔ケアについて相談しておきましょう。

かかりつけの歯科医を持ち、定期的に歯科衛生士にケアしてもらえるよう認知症が進行しても本人が安心して口を開けれるような関係づくりをすることが重要です。認知症がひどい場合は義歯を飲み込んでしまう事故もあり得ます。義歯をどうするかなど歯科医とよく相談して下さい。

 

 

健康倶楽部トップページへ

総合南東北病院トップページへ