広報誌 健康倶楽部/2011年12月号
逆流性食道炎は、胃液が逆流しないように閉まっているはずの噴門(胃と食道の境目)が、何らかの原因で開き、胃液が食道に逆流するために起こる食道の炎症です。食道の炎症が慢性化すれば食道がんの原因になると言われているので、放置してはいけません。最近の傾向としては、内視鏡で食道を調べても炎症も傷も見つからないのに、胸やけを感じる「非びらん性の胃食道逆流症」が増えているようです。
日本人の食道がんの多くは扁平上皮がんですが、胃酸の逆流の結果起きるがんは腺がんで、今後増加することは間違いないと警告されています。
胃液中の胃酸は酸性度が非常に高いので、胃壁は粘液を分泌して胃酸を防御していますが、食道にはそのような働きがないことから、胃液が逆流すると粘膜が傷ついてしまいます。そうすると、のどまで上がった胃液で胸やけや胸の痛みなどの症状が出ます。
原因がはっきりしている場合を除いては、ストレスによって発症する例が多いので、精神科的治療を合わせて行うこともあります。
・チリチリした胸やけや、食物がしみる感じがある
・胸の痛みや胃部不快感
・口の中に酸っぱいものが上がってくる
・寝ているときや前かがみになったときに喉や口に胃酸が逆流する
・食欲不振や甘いものが食べられなくなる
・食事をした後胃がもたれる
・ゲップがよく出る
このような症状がある人は逆流性食道炎の可能性が高いといえます。
逆流性食道炎と診断された人は、自覚症状の強弱に関係なく生活習慣を改めることが大切です。
逆流性食道炎の治療の基本は生活習慣の改善です。薬で胃酸の濃度を抑えたり、症状にあった治療を行いますが、それでも治らない場合は、手術が良い場合もあります。いずれにせよ、気になる症状があればすぐに受診してください。