広報誌 健康倶楽部/2011年12月号

胆石の保有者が増加

食物の消化を助ける胆汁は、肝臓でつくられており、肝管を通って胆嚢にためられています。食事をすると、胆のうが収縮すると共に、胆管の末端の開口部があいて、胆汁が十二指腸に流れ込む仕組みになっています。

胆石とは、この胆汁の通り道に胆汁成分が固まってできる結石をいいます。胆石は、成分の違いからコレステロール結石、ビリルビン結石の二つに大別されます。胆石のある場所によって肝内結石、胆のう結石、胆管結石と呼ばれています。

胆石は、年をとるとともにできやすくなり、特に肥満気味の中年女性に多く見られます。最近では食生活の欧米化に伴い、コレステロール結石が多くなっています。

<胆石症の人の約70%以上がコレステロール過多である>

現代人は高エネルギー、高コレステロールの食事をとっている人が多く、過剰なコレステロールが溶かされないまま結晶化してしまいます。この胆石の主成分はコレステロールなので、コレステロール結石と呼ばれ、多くは胆のう部分に生じます。

又、栄養状態が悪くても胆石ができるのです。低栄養や低たんぱく質状態が長く続くと、胆汁成分の一つ、ビリルビンがカルシウムと結合しやすくなり、化学変化を起こしてビリルビンカルシウムという結晶をつくるのです。しかし、栄養状態が良くなかった時代にくらべて現在は少なくなっています。

<胆石症のおもな症状>

胆石症の約70%以上の人に見られる代表的な症状が腹痛です。腹から背中部分の鈍痛程度と軽いものから、疝痛発作(せんつうほっさ)といって、のたうちまわるほどの激痛におそわれることもあります。

胆石発作が続くと胆汁の流れが悪くなり、黄疽や尿が紅茶のように濃い色になったり、白っぽい便が見られます。

胆石発作は、食べ過ぎたり、油の多い食事をした後30分〜1時間ほどで起こることが多く、右季肋部痛(右肋骨下の痛み)があり、さしこむように痛みます。痛みは数時間も続いて、吐き気を伴うこともあります。高熱を伴う場合は、胆のう炎や胆肝炎を起こしている場合があるので注意が必要です。

<無症状の胆石>

胆石症のなかにはまったく症状が出ないものがあります。これを「サイレントストーン」無症状胆石と呼ばれています。

無症状胆石は自覚症状がないため、集団検診などで見つかる場合が多く、一生発作が出ない胆石症の人は全体の約30%にのぼります。しかし、症状が出ないからといって軽く考えてはいけません。

症状がある・無いにかかわらず胆石をつくらない、増やさないための食生活をすることが大切です。

<胆石症の予防>

胆石発作は脂肪分の多い食事をとったあとにみられることが多いので、脂肪分を制限した食事をとることが大切です。

牛肉などの肉は脂肪分の少ないものを、コレステロールをたくさん含んでいる卵やイクラなども食べ過ぎないようにします。

逆に積極的に食べたいのが食物繊維を多く含む食品(玄米・納豆・野菜・果物・きのこなど)、タウリンを含む食品(カキ・しじみなどの魚介類)です。食事は一日三食なるべく決まった時間に食べることにより、胆汁の分泌や胆嚢の収縮が規則的に起こるようになるので、胆石ができにくくなるといわれています。

 

 

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