広報誌 健康倶楽部/2011年12月号

膣炎と性感染症

膣炎や性感染症の患者さんが増えています。特に若い女性に多くなっています。その影には、安易な性交や体を不潔にしていること、不規則な生活習慣などが要因となっていることが上げられます。

気になることがあればすぐに受診することをおすすめします。

<カンジダ膣炎>

カンジダは真菌の一種で、普段からある程度は体内にいる菌です。

しかし、病気や疲労、妊娠などで、抵抗力が弱っていたり、ホルモンバランスが崩れたりすると増殖し、炎症を起こすのです。

性交の相手がカンジダに感染しているとそこから感染することもあります。症状としては、外陰部にかゆみがあり、カッテージチーズ様のおりものが出ます。

このような症状が出た時は、婦人科を受診します。

治療法は、膣内を洗浄し、膣座薬を入れます。これで数日で症状はおさまりますが、完治したわけではないので、医師の指示に従い治療を続けましょう。膣炎は、すべて感染によるものとは限りません。

ムレやすい下着、きついガードル、パンティーストッキング、また、おりものシートなどでも外陰部や膣内がムレてしまい、細菌が増殖しやすくなることがあるので、なるべく通気性の良いスカートをはき、綿の清潔な下着をつけましょう。

膣炎を繰り返す時は、性交の相手に問題がある可能性も…。相手と話し合う勇気を持って自分の体を病気から守りましょう。

<細菌性膣炎>

膣付近にいる大腸菌やブドウ球菌、溶連菌などの一般細菌によって引き起こされる膣炎で、膣内の自浄作用が弱まっているとき、下痢などをきっかけに発症することが多いようです。又、タンポンの出し忘れなどが原因になることがあり、おりものに悪臭がします。

症状としては、黄色や茶褐色、緑黄色のおりものが増え、腔内が赤くはれます。

治療は膣内の洗浄と膣座薬、抗生剤の投与が行われるでしょう。予防としては、排便後は膣部を良く洗い、便が膣の周囲に残らないようにします。

<トリコモナス膣炎>

トリコモナス原虫が膣粘膜に寄生して起こる炎症で、成人女性や妊婦にしばしば見られます。症状は、黄色のおりものが増え、悪臭もあります。

外陰部にかゆみや痛みを伴い、排尿時や性交時に痛むことがあります。

トリコモナスは、主に性交で感染しますが、まれに風呂場やトイレなどで感染することもあり、性交未経験者に見られることもあります。内服薬や膣内に座薬を用いることにより治療をします。

<性感染症(STD)>

性感染症は性交によって感染する病気全般のことを言います。

近年、患者数が増えているのがクラミジア感染症、淋病、性器ヘルペス、トリコモナス膣炎、エイズなどがあり、特に若い女性の感染率が高く、10代の患者もめずらしくありません。

性感染症は、1度の性交でも感染する可能性があります。

知らない相手との安易な性交は危険です。

性交時は必ずコンドームを使用することで予防に努めましょう。

<クラミジア感染症>

男女ともにかかる人が多い病気です。クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することによって発症します。

数日〜1ヶ月の潜伏期間の後、子宮頚管炎から子宮内膜炎、卵管炎などを引き起こします。おりものや不正出血、下腹部痛、膀胱炎などが見られたらすぐに婦人科や泌尿器科などを受診しましょう。

性交のパートナーの治療も同時に行う必要があります。

<淋病>

淋病は1995年から上昇の一途をたどっています。その背景には不特定多数との性行為があげられます。

淋菌の感染によって起こりますが、感染カが強く、ほとんどが性交により感染します。その他、キスや手指、下着やタオルなどの接触でも感染します。男性は排尿痛、膿性の尿道分泌物を生じる尿道炎がみられ、目に感染した場合は結膜炎がみられます。一方、女性は比較的症状は軽く、うみのようなおりものが増えますが、自覚症状が少ないことから、放っておくと外陰部の痛みや子宮内膜炎、卵管炎などを起こし、激しい腹痛が起きることもあります。おそろしいのは淋菌に感染したまま妊娠すると、新生児に感染して失明する場合もあります。

<梅毒>

梅毒には先天梅毒と後天梅毒とがあり、先天梅毒は梅毒にかかっている母親から胎児が感染して生まれてくるものです。

後天梅毒は、性交により感染します。性交の時、皮膚や粘膜の小さな傷から梅毒トルポネーマという細菌が入り込み、感染部位にしこりや潰瘍ができます。痛みはありません。

早期に発見し、治療することが肝心です。女性の場合、妊娠すると胎児に感染する危険性を考え、妊娠したら必ず血液検査が必要です。

※安易な性交をする人は、不特定多数の人と性交をしている可能性が高く、その分病気に感染するリスクも高いのです。自分の体は自分で守るのが基本ですが、まだ若い10代の女の子は、身体が大人の様でも、精神的に未熟な部分があります。やはり、家庭内の環境や教育で守るという家族の姿勢が大切です。

<婦人科の診察を受けるときは>

婦人科の病気が疑われ、診察を受ける際、ほとんどの場合、内診は不可欠です。患者が自己判断したものに薬を処方するというのはまず不可能です。内診を恥ずかしがって嫌がる人が多いのですが、内診をためらっているうちに、病気が進行していくことをお忘れなく。

医師を信頼し、任せることです。恥ずかしがらずに事実を伝え、治療しましょう。

<婦人科を受診する時は>

●下着が脱着しやすいスカートをはく

●膣口や肛門周辺を清潔にしておく

●自分の月経の状態や、最近の月経日などを答えられるようにする

 

 

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