広報誌 健康倶楽部/2012年1月号
「糖尿病…」ほんとに怖いのは合併症
生活習慣病として知られている糖尿病ですが、日本では40歳以上の10人に1人は糖尿病と言われるくらい多く、近年急激に増えてきている病気です。
糖尿病の発症の初めは自覚症状はありませんが、放置していると、進行し合併症を引き起こし、とても危険な状態になります。
普段から健康診断を受け、血液検査で血糖値が高くないか調べる必要があります。
<血糖値を下げる生活習慣>
- 適正体重を維持する
血糖値の上昇には、肥満が大きく関わっているので、肥満している人は、適正体重にするよう努力しましょう。
- 運動する
適度な運動は代謝を促し、脂肪を減らします。毎日継続できるように、無理をせず、自分で気持ちが良いと感じるくらいから始めましょう。
- 食事を見直す
1日3食、時間を決めて食事をとるようにしましょう。食事1回の量を減らし、栄養をバランスよくとることが必要となります。食物繊維を多く含む野菜をたくさん食べるように心がけましょう。
糖尿病はよほど高血糖にならないと症状が出ないので、気づかないまま放置してしまい、重い合併症が現れて初めて気づくこともめずらしくありません。
高血糖が著しい場合は次のような症状が現れます。
- のどの渇き
- 尿の量、回数が多い
- 疲れやすい、だるい
- 尿に糖が出る
- 手足がしびれる
- 体重が急激に減る
- 性欲減退
- 月経異常
<糖尿病の合併症>
糖尿病の3大合併症といわれる糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症について説明しましょう。
- 糖尿病神経障害
糖尿病神経障害では一般的に感覚神経の障害がまず現れます。手足の先がしびれたり、痛みをあまり感じなくなるという症状が現れますが、これらの症状は手足の左右両方に出る特徴があります。
末梢神経障害を有する患者さんは、手足の指先のしびれや違和感、足のつりやこむら返りなどを訴えます。
末梢神経障害が進行すると神経の死滅が進んでしびれや違和感、痛みなどが弱くなり、感覚が低下した場合は足に傷や靴擦れ、たこなどができても痛みを感じなくなり手当が遅れるので注意が必要です。
また、高血糖により、自律神経が障害されると立ちくらみを起こしたり、胃もたれ、便秘、下痢が起こります。排尿障害や勃起障害が起こることもあります。
- 糖尿病網膜症
成人の失明原因として非常に大きな比率を占めています。糖尿病の患者さんの約40%に網膜症が起きているといわれています。
血管障害によって酸素欠乏状態になった網膜から、血管を自分のほうへ伸ばすホルモンが放出され、その結果、非常にもろい血管ができます。
もろい血管は出血しやすいため、目の機能に障害が起きます。最悪の場合、網膜剥離などが起こり、失明に至ります。
- 糖尿病腎症
腎臓が糖尿病による高血糖に長年さらされることで腎臓のろ過機能を担う糸球体が損なわれる病気です。最初は高血糖のため、糸球体濾過量は増加していますが、糸球体のなかの血圧が高くなり、アルブミン尿が出てきます。さらに進行すると尿蛋白になり、低蛋白血症になります。浮腫が起こり、体内の老廃物や水分、塩分の排泄が損なわれ、腎不全状態になり、最終的に透析や腎移植が必要になります。
このような合併症を予防するために糖尿病の患者さんは、良好な血糖コントロールが重要になります。
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