広報誌 健康倶楽部/2012年7月号

女性に多い「膀胱炎」

多くは細菌の感染が原因で、膀胱の粘膜に炎症が起こるものです。特に女性の場合は、肛門からまず膣に細菌が棲みつき、そこから尿道、膀胱、腎孟へと侵入していきます。

男性に比べて尿道が短く、細菌が膀胱内に侵入しやすいのです。

<単純性膀胱炎>

原因となる病気が、とりたててない場合を単純性膀胱炎といい、急性膀胱炎として発症しますが、治りやすいものです。単純性膀胱炎は、女性では尿意を我慢したり、冷えや月経、妊娠、便秘、性交渉などが誘因となって起こります。頻尿や残尿感などがあります。

<複雑性膀胱炎>

尿路に尿停滞、異物、持続的細菌源などや、何らかの原因となる病気がある場合は複雑性膀胱炎といい、治りにくく、慢性膀胱炎になりやすいものです。原因となっている基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いといわれています。

<間質性膀胱炎>

間質性膀胱炎の原因はよくわかっていませんが、膀胱の粘膜に問題があって炎症が起き、筋肉が萎縮してしまう病気です。通常、膀胱には200〜400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、間質性膀胱炎になると膀胱が膨らまないため、100ml以下で一杯になります。尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレの回数がとても多くなります。また、尿が我慢できない尿意切迫感や、少しでも尿が溜まるとトイレに行きたくなる尿意亢進などの症状もあります。

中高年女性に多く見られますが、男性にも決してまれではありません。症状が普通の膀胱炎と似ているので、初めは抗生物質で治療を受ける人が多いのですが、間質性膀胱炎は抗生物質では治りません。膀胱鏡で膀胱の内部を観察することが必要になります。

 


 

多くは単純性の急性膀胱炎ですが、急性膀胱炎の大部分は細菌の感染が原因です。普通は少数の細菌が膀胱に入っても膀胱粘膜に備わっている防御機能や、排尿にともなう自浄作用により洗い流されるので膀胱炎になりません。

しかし、排尿を我慢したり、冷え、便秘、性交などが誘因となって細菌が膀胱内に定着、増殖すると膀胱炎になります。

特に女性は尿道が短く、尿道括約筋の働きが弱いため、外陰部の細菌が尿道から膀胱に侵入しやすいので、急性膀胱炎になりやすいと言えます。

男性の場合は尿道が長いので、急性膀胱炎は起こりにくいので、単純に細菌が侵入しただけではなく、前立腺肥大症、前立腺炎、尿道狭窄、膀胱がんなど、他に何らかの原因があると考えられるので、精密検査を受けるべきでしょう。

急性膀胱炎の症状は、突然、排尿時、とくに排尿の終わりに痛みを感じ、排尿しきっていないという残尿感におそわれ、今さっきトイレに行ったばっかりなのにまたすぐ行きたくなるという頻尿が現れます。尿が濁ったり、臭いが強くなることもあります。また、血尿もみられます。このような症状があるときはすぐに病院に行きましょう。

 

膀胱炎の予防

・トイレを我慢しない

・ストレスや過労、過激なダイエットをしない

・生理用ナプキンなどは汚れたらすぐ取り替える

・陰部を清潔に

・下半身を冷やさない

・性交後はトイレに行き、排尿したり、シャワーをするなど清潔にしましょう

・排便後は肛門から尿道へ拭くと菌が入りやすくなるので、前から後ろに向かって拭くようにしましょう

・便秘をしない

・栄養バランスの良い食事を心がけ、免疫力、抵抗力をつけましょう

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