がんを予防しよう
日本人の死因の第1位を占める「がん」。その原因の多くは、食事や喫煙といった生活習慣に関係しています(図1)。ですから、がん予防のためには、生活の改善を心がけることが最も大切なのです。
食事でがん予防 がんの原因    図1
 がんの原因のうち約30%は、食生活の乱れであるといわれています。食生活が乱れると、胃がんや大腸がんを始めとして、乳がんや前立腺がんにかかる危険度が高くなります。バランスのとれた食事を心がけることは、これらのがん予防はもちろんのこと、あらゆる生活習慣病を防ぐ意味でも、大変重要です。
 図2は、がん予防のための食生活指針です。「自分はあまりできていないな」と思う項目がある方は、ぜひ、その改善を今年の目標にしてみてください。
がんを予防する食事   図2
塩分を控えめにしよう 焦げた部分は避けよう
過剰な塩分は胃の粘膜を傷つけます。 焦げた部分には、発がん物質が含まれます。
多くの種類の食品を食べよう 脂肪をとりすぎないようにしよう
さまざまな食品を食べると、自然と食事の
バランスがとれるようになります。
肥満により、乳がんや子宮体がんにかかりやすく
なります。
野菜や果物をたくさん食べよう お酒は飲み過ぎないようにしよう
とくに、消化器系のがんにかかりにくくなります。 アルコールは食道や胃の粘膜を傷つけます。
また、発がん物質を溶かして、細胞内に入り込み
やすくさせます。とくに、たばこを吸いながらの
飲酒は、さらに発がんの危険度が高くなります。
熱いものは少し冷ましてから食べよう
熱いものは粘膜に炎症を起こすため、口、のど、
食道のがんにかかりやすくなります。
禁煙でがん予防
 たばこには、発がん物質が多く含まれています。たばこの影響が最も顕著に現われるがんとしては、肺がんがあげられます。そしてその発症率は、吸わない人の4〜5倍にもなります。そのほか、口、のど、すい臓肝臓など、全身のがんを引き起こす原因にもなります。
 また、吸っている本人はもちろん、流れる煙(副流煙)を吸い込むことにより、周囲の人までも発がんのリスクが高くなってしまうことも問題です。
 がん予防のためには、今から禁煙する必要があります。例え過去に喫煙の習慣があったとしても、禁煙年数が長くなればなるほど、がんの発生率はどんどん下がっていきます(図3)。禁煙に遅すぎるということはないのです。
 とはいえ、頭ではわかっていても、禁煙はなかなか難しいもの。医療機関によっては、「禁煙外来」を設けているところもあります。2006年からは、原則として健康保険が適用されることになりました。本気で禁煙を考えている方は、医師に相談してみてください。
 その他にも、運動をすること、太り過ぎ・やせ過ぎにならないよう適正体重を維持することが、がん予防に効果的といわれます。また、ストレスがかかると免疫力が低下し、がんだけでなく、さまざまな病気にかかりやすくなります。ストレスはためこまず発散させる、自分の好きなことをする時間をもつ、などを心がけることも、大事な病気予防法です。
定期検診はなぜ重要?
 がんは、進行すればするほど治療が難しくなります。けれども、早期に発見できれば、治癒する可能性が高くなるのです。また早期であれば、治療方法の選択肢も多くなります。がんを治すためには、早期発見・早期治療が何より大切なのです。
 しかし、初期のがんにはほとんど自覚症状がありません。早期がんを発見するには、定期的な検査を受けることが最も有効です。
 がんの検査には、主に次のような方法があります。
〈検査方法〉
胃・食道 エックス線検査
大 腸 便潜血検査
エックス線検査、喀痰細胞診
乳 房 エックス線検査(マンモグラフィー)
子 宮 子宮頸管の細胞診(子宮頸がん)
 この他にも、がんの検査にはさまざまな種類があり、すべての検査を受けるのは大変なものです。ですから、例えば喫煙習慣のある方は肺がん検診というように、自分の生活習慣で気になる部位を受けるとよいでしょう。
 近年は、治療技術が大きく進歩し、がんの治癒率が上がり、治るケースが増えています。とはいえ、病気にかからないように予防しておくことが、やはり最も大切です。がんの予防には、
@生活習慣を改善して発病しないようにすること
A定期検診を受け、早期発見・治療を行なうこと

が大変重要となります。
 毎日の生活を見直して、がんに負けない身体を作りましょう!
がんはどんな病気?


−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2007年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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