めまい 対策 
 ひと口に「めまい」といっても、実はいろいろな種類のめまいがあります。そして頭痛などと同様、日常生活のなかで体験することの多い症状です。周囲がグルグル回っているように感じる、あるいは自分自身がユラユラフワフワした感じなど、さまざまな種類のめまいがあります。めまいの予防・改善はできるのでしょうか。
めまいの種類と原因
 めまいは、自分自身や周囲が動いていないにも関わらず、バランスを保つ三半規管などの異常により、動いているような違和感を感じ、平衡感覚を失った不快な状態をさしていいます。その種類には、次のようなものがあります。
@回転性のもの
 しばしば「目が回る」「天井がグルグル回る」などと表現されるめまいで、内耳と視覚と筋肉からなる、身体のバランスを保つ機能(平衡機能)の異常により起こります。耳の病気や脳の病気が原因と考えられます。
 例えば、代表的なものにメニエール病があります。めまいのほかに耳鳴り、難聴などの症状が現れます。また、突発性難聴の場合も、めまいや吐き気といった症状が多くみられます。
A浮動性・動揺性のもの
 身体がフワフワ浮いているような感じ、あるいはユラユラ揺れているような感じのめまいは、車酔いにも似て、これまた気分の悪いもの。脳腫瘍や脳梗塞、脳血栓といった脳血管障害(または脳血流障害)など、脳に原因があることもあります。また高血圧やうつ病が原因ということも考えられます。
B失神性発作
 「目の前が真っ暗になった」などと表現されるめまいで、頭からスーツと血の気が引いていくような感覚を覚えます。いわゆる立ちくらみはこれに相当します。起立性調節障害や不整脈などの原因が考えられます。
 このようにめまいにもいろいろな種類と原因がありますが、それぞれストレスなど、心因的な原因の場合も少なくありません。
めまいの種類と考えられる原因 (表1)
回転性のもの(グルグル感) 浮動性・動揺性のもの(フワフワ・グラグラ感)
◎耳鳴り・難聴を伴なう ◎視力障害(眼科疾患)
 →メニエール病、突発性難聴など ◎高血圧
◎耳鳴り・難聴はない ◎脳腫瘍、脳血管障害など脳の病気
 →良性発作性頭位めまい症(BPPV)など ◎うつ病など心因性の病気など
◎頭痛や意識障害がある 失神性発作
 →脳卒中など脳の病気 ◎起立性調節障害
◎不整脈など
めまいの治療
 めまいの原因はなかなか特定できない場合が3〜4割と多く、まず対症療法が行われます。その際、どのタイプのめまいかが分かれば、原因疾患の特定や治療がしやすくなります。
 めまいの治療は、一般的に安静を保ち、吐き気がひどい場合は制吐剤など、医師の判断により症状に合わせた薬が処方されます。必要に応じて鎮痛剤、催眠剤などがだされることもあります。
 過度の緊張やストレスにより、頭痛とともにめまいの症状が起こる場合は、筋弛緩薬や安定剤を服用します。また、ストレッチや体操で筋肉をほぐすと、改善することもあります。
 脳の病気が原因と考えられる場合には、CT(コンピュータによる断層撮影)やMRI(磁気共鳴映像法)といった検査を行うこともあります。
流行っている?めまいを予防する
 めまいが流行っている、というと不思議に思われるかもしれません。しかし、最近はめまいを訴えて医療機関を受診する人が増えています。
 もちろん脳腫瘍など、生命に危険を及ぼす病気が原因であるケースも考えられますから、まず医師に相談、診察を受けることは正しい選択です。しかし、めまいはそのように怖いものばかりではありません。
 生命に危険がなく、くり返し起こるめまいの場合、実は生活習慣が原因という場合が多くみられます。
 偏食がひどく、鉄分が不足していたため、しばしばめまいの症状を起こしていた、という例もあり、こうなると「めまいは生活習慣病の一つ」という考え方もできます。
 また、私たちの身体の生活リズムを整えている自律神経は、ストレスにより乱れることがあります。そして、当然起きているはずの日中に血圧が下がり、夜になると興奮して眠れない、などという状態になったりすると、寝不足のときのようなフラフラッとするめまいにおそわれたりします。
 こういった場合は、医師のアドバイスのもと、適切な治療で過度のストレスをコントロールし、自身で生活習慣を改善すれば、再発、頻発を予防することも可能です。
めまいを防ぐ生活習慣 (表2)
@規則正しい生活をし、寝不足をしない
A過労・過度のストレスを避ける
B定期的に適度な運動やストレッチをする
C禁煙(たばこは血管を収縮させ、血流を悪くする)
D塩分や水分を摂り過ぎない(メニエール症の予防のため)
E楽しく生活し、リラックスを心がける
 とても不快なめまい。ましてやその状態が続いたり頻発するととても心配してしまいます。
 でも、めまいは怖いものばかりではありません。まずはかかりつけ医に相談してみましょう。

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2007年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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