健康づくりのための運動指針2006
「健康づくりのための運動指針2006」とは
 メタボリック症候群の疑いのある方にその予備群の方を含めると、中高年齢者の約半数がこれに該当するといわれています。メタボリック症候群は生活習慣病(脳卒中や心筋梗塞など)の発症につながるおそれがあり、この状況は大変に危倶されています。
 これを受けて厚生労働省は昨年、「健康づくりのための運動指針2006」を発表しました。これは、仕事や家事・育児など「生活に密着した活動」と「運動の習慣」を結びつけて、無理なく生活習慣病の予防に役立てようというものです。
 具体的には、安静にしている状態の3倍程度の負荷(20分の歩行を行ったくらいの運動量)のかかる生活活動運動1回を1Ex(エクササイズ)とし、これらの活動を1週間で23Ex以上、行うことを目指します。
 
自分に適した「運動量と目標設定」
 指針にもとづいて実際に行う場合、まずは、<図>・<表>を利用して、自分が普段どのくらいの生活活動運動を行っているかチェックしてください。次に、1週間で生活活動運動のトータルが23Exになるように目標設定をします。
 目標設定は、<図>にあるようなメニューから、翌日に疲れや筋肉痛を残さない、身体の状態やライフスタイルに合った設定にします。急激なダイエットや体質改善を目的にした無理な目標を設定するのは避けてください。
 運動の習慣のない方は生活活動メニューからEXを増やしていくほうが取り組みやすいでしょう。それには、歩行を増やすことが有効です。歩行に目的をもたせ、歩いて移動する機会を増やしてみてください。
 指針では、23Exの内4Ex以上は運動を取り入れるように勧められています。運動というと、「きつい・面倒」というイメージもありますが、ここで取り上げられている運動はランニング・水泳といったものだけではありません。バレーボール・バドミントン・ボーリングなどのレジャーとしても楽しめるメニューのほか、「立った状態で20分間ギターを弾く」などのユニークなメニューもあります。ご自身やご家族で楽しんで取り組める運動メニューを工夫してみてはいかがでしょう。
 
 
長く続けるために
 「<自分にはできる・自分のしたことには意味がある>と感じる感覚」を心理学では「自己効力感」といいます。目標を達成できる見通しが立ち、効果がでてくると、自己効力感が現われ、取り組む意欲が高まります。逆に「自分にはできない」「やっても意味がない」と感じると、意欲は減退してしまうでしょう。自分にできて効果を実感できるような目標を考えて、試してみてください。
 長く続けるには、表を活用して記録を残していくのもよい方法です。
 
コラム
42歳・男性会社員の実例から
 会社員になってからは、運動らしい運動をしたことがなかったので、まずは、通勤時間を利用して「帰宅時に最寄の駅のひと駅手前から電車を降りて歩くこと」と「会社や駅のエレベーター・エスカレーターの使用をやめて階段昇降」を行うことから始めた。
 最初の1週間は、筋肉痛や疲労感があり、階段昇降では息切れすることもあったが、2週間目の中頃から徐々に身体は楽になった。手ごたえを感じるようになったのは、3週間目からで、以前から身体の芯にあった倦怠感のようなものが消えた。
 「健康づくりのための運動指針2006」は、日常生活をもとにメニューを組み立てるため、生活のリズムが変わる休日に運動する機会をどう作るかはひとつのポイントだと思う。これまで休日は、家や近所で用事を済ませることが多かったが、美術館を訪ねたり、隣駅のスーパーへ買い物に行くなど、歩くことを意識的に増やした。
 1か月がたち、目標としていた体重・胴回りの減少は果たせなかったが、食生活の改善も取り入れて、これからも継続していきたいと思う。
 
身体活動量評価のためのチェックシート<表>
拡大コピーして使ってみてください。
  活動内容 運動 生活活動 合計
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
          Ex Ex Ex
合計 Ex Ex Ex
 
<表>の記入例(主婦の場合)
  活動内容 運動 生活活動 合計










30分 そうじ30分 0Ex 3Ex 3Ex
30分 そうじ10分 軽いジョギング20分 2Ex 2Ex 4Ex
20分 そうじ30分 屋内で体操20分 1Ex 2.5Ex 3.5Ex
20分 自転車15分 屋内で体操20分 1Ex 2Ex 3Ex
20分 そうじ30分 屋内で体操20分 1Ex 2.5Ex 3.5Ex
30分 そうじ10分 軽いジョギング20分 2Ex 1.5Ex 3.5Ex
30分 そうじ20分 屋内で体操20分 1Ex 2Ex 3Ex
合計 8Ex 15.5Ex 23.5Ex
「1Ex・10分」と設定されているExの場合、「1日1回10分」行っても、「1日数回に分けて10分」行っても、1Exとなります。また、「1Ex・10分のExを30分」行うと、3Exになります。
 
参考資料:厚生労働省 運動所要量・運動指針の策定検討会作成「健康づくりのための運動指針2006」
図:第1章理論編P7より作成
表:第2章実践編P13より作成
ホームページ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/undou.html

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2007年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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