プールや海で気をつけたい
病気とけが
 プールや海などの「水のレジャー」が楽しい季節になりました。でも、ちょっと待ってください。プールや海には、思わぬ危険が潜んでいます。
そこで今回は、プールや海で気をつけたい病気やけがについてご紹介します。
プールで起こりやすい  病気やけが 
 プールが病気の感染場所になるケースは少なくありません。とくに子どもはその傾向が強く、スイミングスクールなどで友だちから病気をもらってきてしまう、といったこともよくあります。では、どのような病気があるのでしょう。

プール熱(咽頭結膜熱)、はやり目(流行性角結膜炎)・・・ どちらもウイルス性の結膜炎で、目の充血や目やになどの目の症状と、発熱、喉の痛みなどの全身症状が起こります。
水いぼ・・・ 半球状で中央にへこみのあるいぼが、膝や腹部などにできる感染症です。いぼがつぶれると、白くドロドロとした液体がでてきます。これが他の皮膚や他人に触れると、新たないぼができてしまいます。
アタマジラミ・・・ シラミの一種(アタマジラミ)が原因で、頭皮に炎症ができます。「不潔だから寄生する」といった誤解がありますが、そうではありません。

これらの病気を予防するためには、

@プールに入ったあとはシャワーで丹念に身体を流す
A目をよく洗う
Bタオルやくしなどの貸し借り、ロッカーの共有は避ける、などを心がけましょう。 

 なお、これらの病気にかかったら、速やかにかかりつけ医を受診してください。 また、プールではちょっとした不注意から、けがをすることがあります。子どもだけではなく大人も、次のことに気をつけましょう。
・プールサイドでは走らない
・プールに飛び込まない
・プールから上がるときは、手を滑らせないように注意する
 
海で起こりやすい病気やけが
 夏のレジャーの王道、海水浴。その海で病気やけがになったら、楽しい時間が台なしです。次にあげる病気やけがに注意しましょう。また、応急手当を覚えておくと、安心です。
・熱中症…熱中症には3種類あります。原因はいずれも汗をかき過ぎることで体内の水分や塩分が減少し、体温調節ができなくなるため。スポーツドリンクなどで水分や塩分をこまめに補給するようにしましょう。
・日焼け…健康的なイメージがあった日焼けですが、近年は皮膚がんやシミ、シワの原因になるとされてます。水着の上にTシャツをはおったり、帽子や日傘、日焼け止めなどを利用して、日焼け対策を。
・クラゲなどに刺される…海には、ふれると肌の炎症や発熱などの症状を引き起こす生物がいます。とくにクラゲは要注意。海のなかでクラゲを発見したら、すぐに離れてください。また、岸に打ち上げられているクラゲもさわらないように。
 
プールや海に入る前に…
 プールや海で遊泳中、体調を崩したり、トラブルに遭遇してしまうこともあります。それらを回避するために、次のことを守ってください。
・準備体操を行なう…プールや海での遊泳は全身を使います。けがをしないために、準備体操を行ないましょう。
・こんなときには遊泳しない…体調が悪いときや空腹時、飲酒後、睡眠不足のときは遊泳を控えましょう。
・子どもから目を離さない…水難事故の犠牲になりやすいのは、子どもです。保護者の方は絶対に、お子さんから目を離さないでください。
 また、心肺蘇生法など、いざというときの対処法を習得するのもよいこと。自治体や消防署などで行なわれる講習会を利用してみましょう。
 この他にも、海で遊ぶ際に気をつけたい点がいくつかあります(表参照)。これらを実行して、楽しい時間を過ごしましょう!
 
熱中症の種類と応急手当
熱中症の種類 応急手当の仕方
@熱射病
熱射病は41℃以上の高熱や意識不明、呼吸停止など、重篤な症状がでる。
熱射病が疑われる場合は、すぐに救急車を手配。待っている間、風通しのよい日陰へ移動させ、服を脱がし、頭を高くする。首筋や脇の下、脚のつけ根などを冷やす。意識があれば水分補給(ない場合はしない)。
A熱けいれんB熱疲労
熱けいれんは筋肉が突っ張るなどの症状がでる。熱疲労は頭痛や吐き気、めまいなどの症状がでる。
風通しのよい日陰へ移動させ、服を緩め、足を高くする。スポーツドリンクなどで、水分と塩分の補給をこまめにさせる。
 
日焼けとクラゲ刺傷の応急手当 
日焼けの手当
肌が赤くなり、熱をもっていたり、痛みがある場合、冷えたタオルやローションなどで冷やし、安静にする。
※肌が異常に赤い、痛みが激しい、水ぶくれができているなどの場合は、医師の診察を受けましょう。

クラゲに刺されたら(クラゲ刺傷)
@水中で刺された場合、溺れるのを防ぐため、すぐに陸地へ上がる。
A患部に付着したクラゲの触手をティッシュなどを使ってゆっくり取る。このとき、素手で触手にふれないこと。
B海水で患部を流し、そのあとに患部を冷やす。
※患部が広範囲な場合や、皮膚の症状がひどい場合、嘔吐や発熱、呼吸困難などの全身症状がある場合は早急に医師の治療を受けましょう。
   
海の安全十か条(表)
1.泳ぐ前には必ず準備運動
2.食後はゆっくり休憩してから泳ぐ。飲酒後は海に入らない
3.疲れていたり、睡眠不足のときも海に入らない
4.水分補給と日陰での休息を忘れずに
5.日焼けも焼け過ぎればやけど。焼き過ぎ注意
6.保護者は小さい子どもから目を離さない
7.泳いでいいのは※1青い旗がでているとき
8.沖から戻れない人や溺れている人がいたら※2「助けてサイン」
9.赤と黄の旗が立っているあいだが遊泳区域
10.※3ライフセーバーのいる海水浴場で泳ぐ
※の補足説明
1.海水浴場では青(遊泳可能)、黄(遊泳注意)、赤(遊泳禁止)の旗で遊泳が可能かどうか表示しています。
2.沖に流された、泳いで戻る体力がない、溺れている人がいるなど、ライフセーバーに助けを求めたいときは、浜辺に向かって片手を大きく振ります。これが、救助を求めるサイン(助けてサイン)になります。
3.ライフセーバー(水難救助員)は、海の監視や溺れている人などの救助を行なう他、けが人の応急手当、迷子の保護などを行なっています。

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2007年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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