心臓の病気
 心臓の病気と一口にいっても、様々な種類があります。放置しても問題のないケースもあれば、心筋梗塞のように生命にかかわる病気もあります。そのような重大な病気を予防するためには、早めに受診して正しい知識を得、適切な治療を行うことが大切です。
心臓の病気、症状は?
 心臓の病気になると、どのような症状が現われるのでしょうか。代表的な症状は胸の痛みです。その他、息切れや放散痛などがありますが、これらの症状の現われ方は人により様々です。
胸の痛み
胸に締めつけられるような痛みや圧迫感を感じます。比較的軽い痛みが10分ほど続くようなら狭心症が、激しい痛みが30分以上続くようなら心筋梗塞が疑われます。
息切れ
ちょっと階段を昇っただけでも息切れするようなら、心臓が弱っている可能性があります。病気が進行すると、少し歩いただけでも息苦しくなります。
放散痛
胸以外の場所−左肩、上腕、背中、のど、歯、みぞおちなどに重苦しさや圧迫感を感じます。やや広い範囲が痛むことが特徴です。放散痛は、それほど多くの人には起こりません。
その他の症状
動悸(運動や精神的緊張などのきっかけがないのに動悸がする)、むくみ、疲れやすい、めまい、失神などの症状が現われることがあります。
心臓病の検査
 心臓の病気を調べる方法はたくさありますが、どの検査が行われるかは病気の状態によって異なります。代表的な検査には、次のような種類があります。
問診
いつ、どんな場合に、どのような症状が現われるのかを確認します。
心電図検査
安静時における、心臓の拍動状態を調べます。
胸部レントゲン検査
心臓の大きさや肺の状態を調べます。
心エコー検査
超音波で画像を映しだし、異常が生じている場所を調べます。
運動負荷試験
運動時の心臓の動きを測定し、心電図に記録します。
ホルター心電計
携帯用の心電計を用い、日常生活のなかで24時間連続して心電図を記録します。
心筋シンチグラフィー
医薬品を使用して心筋(心臓の筋肉)の状態を撮影し、血流を調べます。
カテーテル検査
冠動脈の内側を調べる検査です。カテーテル(細い管)を腕や脚の付け根から挿入して心臓まで送りこみ、造影剤を用いて撮影します。
MDCT
造影剤を使用して、心臓を輪切りに撮影し、心臓の血管の状態を詳しく調べます。
心臓病の治療
 病気の種類や進行の程度によって、どの治療法を行うかが決められます。多くの場合、初期では薬物療法のみを行いますが、進行すると手術も検討されます。
薬物療法
狭心症の発作が起きたときに症状を鎮めるには、ニトログリセリンが多く用いられます。服用後2〜3分で症状が治まります。
狭心症の発作や心筋梗塞の再発を予防するには、血管を広げる薬、血栓をつくりにくくする薬、コレステロールや血圧、交感神経の働きをコントロールする薬などがあります。
心筋梗塞の治療には、血栓を溶かす薬を用います。その他、不整脈や心不全などでも、薬物療法が行われます。
カテーテル治療
カテーテル検査と同様に行い、冠動脈の狭くなった部位を広げる方法です。狭心症や心筋梗塞で行われます。
バイパス手術
他の部位の血管を用いて、冠動脈に新たな血液の通り道をつくる方法で、進行した狭心症の治療に有効です。
心臓ぺ−スメーカー、植え込み型除細動器(ICD)
ある種の不整脈の治療では、手術をして心臓に機械を植え込みます。拍動に異常が現われると自動的に電気刺激を発し、正常な拍動に戻すことができます。
危険因子の改善
心臓病の原因は、動脈硬化であることがほとんどです。動脈硬化の予防・改善が、心臓病の予防・治療にもつながります。下記のような危険因子は、できる限り改善したいものです。
 
こんな方は必ず受診を!
・胸痛が長い時間続く
・特定の動きをするといつも同じ場所が痛む
・右記のような危険因子が複数ある
心臓病・動脈硬化の危険因子
肥満 高血圧
高脂血症 高血糖
喫煙 運動不足
疲労 ストレス
飲酒
 
 心臓病のなかには、心筋梗塞のように命に関わる重大な病気もあります。けれども、初期のうちに異常を発見できれば、治療もスムーズに進みます。気になる症状がある方は、早めに医師へご相談ください。
心臓を守る方法
食事は腹八分目、適正体重を維持しよう 疲れをためないよう、上手に休息をとろう
塩分や、動物性脂肪を摂りすぎない 程度な運動を習慣にしよう
(心臓に異常がある場合は、必ず医師の指示を受けてから!)
キッパリ禁煙! 自分の体重、血圧、脈拍を知っておこう
お酒はほどほどに 定期検診を受けよう
主な心臓の病気
狭心症
どんな病気?
冠動脈(心臓に酸素や栄養を供給する血管)が狭くなって、充分な血液が流れなくなる。
症状
胸が痛む、左肩や左腕が痛む。労差狭心症は階段の昇り降りなどで動いた後に起こり、安静狭心症は就寝中などに起こる。
心筋梗塞
どんな病気?
狭心症がさらに進行し、冠動脈の一部が完全にふさがってしまう。血液が供給されない部位の心筋が壊死する。
症状
しめつけられるような激しい痛みがあり、30分から数時間続く。失神、息苦しさなどが現われる場合も。不整脈を起こすこともある。発病直後に死に至ることもある。
不整脈
どんな病気?
心臓の収縮・拡張のリズムが乱れた状態。脈がとぎれる、急に速くなる、遅くなるなど、病気の種類によりパターンが異なる。放置しても問題のないケースから、早急に治療しなければ生命に関わるケースまで、さまざま。
症状
めまい、動悸、疲れ、呼吸困難、失神など。無症状のこともある。
心不全
どんな病気?
心臓のポンプ機能(血液を送りだす働き)が弱くなった状態。そのため全身で血液の流れが滞るようになる。心筋梗塞などの病気がもとで引き起こされる。
症状
息苦しさが主な症状で、他に疲れやすい、動悸、むくみ、食欲不振などがある。悪化すると安静時でも息苦しくなる。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2008年3月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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