気をつけよう!
皮膚疾患を起こす動植物

夏本番!海水浴、森林浴、山へハイキング、川沿いでキャンプなど、アウトドアのレジャーを思う存分楽しめる季節ですね。 でも、ちょっと気をつけてほしいことがあります。それは、動物や昆虫、植物による皮膚疾患。
少し触れただけでも、湿疹や水ぶくれ、かゆみや痛みなどの症状を引き起こすものが、少なくないのです。
海や浜辺で気をつけたい生き物たち
●カサゴ、オコゼ、ゴンズイなどの魚類
 美しいヒレが特徴的なカサゴの仲間。思わず見とれてしまいますが、そのヒレには毒があり、触れると激痛に襲われ、周囲が赤く腫れます。 症状がひどい場合は、嘔吐や発熱などの全身症状が起きることもあります。  
 この他、オコゼの仲間やゴンズイにも、背ビレなどに毒があります。触らないように。
 
      
   
●クラゲやイソギンチャクなど
 クラゲやイソギンチャクの触手に触れると刺胞という毒針に刺されます。激しい痛み、肌の腫れ、変色、水ぶくれといった症状が起こります。
 また、身体がアレルギー反応を起こし、顔面蒼白、嘔吐、呼吸困難などの症状(アナフィラキシーショック)を引き起こす危険性があります。注意しましょう。
 この他、ウニやヒトデの仲間も、触ると激痛や患部の腫れを伴う場合があります。  
 なお、海水浴中、チクチクとした痛みを感じた場合、ゾエア(俗名・チンクイ。カニやエビの幼生)に刺されているかもしれません。痛みは強くなく、かゆみもすぐに 治まりますが、肌の弱い人や幼児は皮膚炎になることもあります。
   
 
山や森林で気をつけたい生き物たち
●ウルシ、イラクサなどの植物
 ウルシに触ると、発疹や腫れ、かゆみなどを伴ないます。これはウルシの樹液に対し、身体がアレルギー反応を起こすため。ですから、人によって症状に差があり、過敏な人はウルシに近づいただけでも症状が現れます。  
 また、棘などの突起物によって傷つけられることもあります。バラのような大きな棘も注意が必要ですが、サボテンのような細かい棘が刺さり、皮膚炎になる場合もあります。  
 しかも、細かい棘が刺さると毒やアレルギー物質が肌に注入されてしまうこともあります。 イラクサはその代表格です。
 
●ガ、力、ハエなどの昆虫
 まず気をつけなければならないのは、ガです。とくにドクガやチャドクガは幼虫(毛虫)だけではなく、卵や成虫も、触れると強いかゆみや患部の炎症などが起きることがあります。  
 また、カやブヨ(ブユ)は刺された後かゆみなどを伴ない、患部をかいてしまって二次感染を引き起こすことがあります。とくにブヨはかゆみが激しく、かきすぎると化膿することがあります。  
 ただ、ブヨと同じハエの仲間であるアブは、刺された直後に痛みがあり、その後、強いかゆみが起こります。
 この他、マメハンミョウやカミキリモドキの仲間などのように、有毒成分を含んだ体液をだす昆虫もいます。 注意しましょう。
 
 
<予防するには>
 まず大切なのは、肌の露出を可能な範囲で抑えること。山や森林などでは長袖、長ズボンを着用し、場合によっては軍手や帽子を使用します。海では薄手のマリンスーツや長袖のTシャツを着用し、足元も運動靴や長靴、マリンブーツで保護します。潮干狩りなどのときには、軍手を使って手の保護をするとよいでしょう。    
  また、危険な生き物の生息場所に近づくのは、大変危険です。どうしても近づく場合は、周囲をよく確認し、木や岩場、地面に手をつくとき、水中で地面に着地するときなどに、充分注意してください。なお、転倒した際、顔や身体に危険な生き物が当らないために、手を自由に使える体勢を心がけましょう。  
 ただ、どれだけ注意していても、絶対に被害に遭わないとは限りません。もしものときには応急手当てをし(下表参照)、皮膚科の医師に診てもらいましょう。また、アナフィラキシーショックが起きている場合は、すぐに救急車をよんでください。
 
応急手当の仕方 (一例)
<クラゲ>
すぐに陸へ上がり、患部に海水をかけ、触手を洗い流す。残った触手はピンセットなどでゆっくりと取る。ハブクラゲの場合は酢水をかけてもよい。なお、救護室のある海水浴場であれば直行する。
<毛虫>
毒毛針が皮膚に残っていたら、セロテープやピンセットで取り除く。その後、流水で洗い流し、抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗る。ドクガやチャドクガの成虫に刺された際の処置も同様。
<ウルシ>
患部を流水で洗い流し、抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗る。

※注意点  
絶対に患部をこすらないこと。また、手当て後はなるべく早く、皮膚科を受診すること。
  
 
コラム・皮膚疾患だけじゃないー気をつけたい生き物たちー
 今回は皮膚疾患に限定して気をつけたい生き物を取り上げましたが、自然界には、噛む動物や刺す昆虫、食べると食中毒を起こす植物やキノコなど、注意したい生き物が多く存在します。  
 神経質になりすぎて、せっかくのレジャーがつまらなくなっては本末転倒ですが、危険な生き物の基本的な知識や、いざというときの手当の仕方を身につけたり、生き物の出没状況や事故の発生状況などの情報を集めたりして、安全なアウトドアを楽しんでください。  
 また、スキューバダイビングや山菜取り、キノコ狩りなどを楽しむ際には、インストラクターなど専門家の指示に従いましょう。
モンガラカワハギの仲間
噛まれたり、ヒレに刺されたり、食中毒を起こすことも。
とくにゴマモンガラに注意。
スズメバチの仲間
攻撃性が高く、近づいただけで刺されることも。発見次第、 騒がずゆっくり逃げること。
ドクセリ
セリと間違えやすい。なお、植物やキノコは食用か否か判別が難しい。素人判断は禁物。
 
 
 
 
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