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あなたも予備軍?
増加をたどる花粉症

 2050年には、花粉症患者が 現在の約2倍に増えるという予測がありますが、環境問題などの花粉症対策は、なかなか進んでいないのが現状です。  
 そこで今回は、花粉症になる可能性が最も高いと考えられる花粉症予備軍(アレルギー体質の方)について、いっしよに考えていきたいと思います。

 
花粉症のメカニズムと花粉症予備軍
 
(1)花粉が体内に侵入すると、体内では「IgE抗体」が作られる。
(2)IgE抗体は、目や鼻の粘膜にあるマスト細胞(化学物質を豊富に含む細胞)
(3)(1)・(2)は花粉が侵入するたびに繰り返され、IgE抗体と結合した状態のマスト細胞が増加し、ある一定量(個人差がある)を超える。
(4)そこへさらに花粉が侵入すると、マスト細胞と結合したIgE抗体が反応を開始する。この反応によりマスト細胞は活性化され、化学伝達物質(ヒスタミン・ロイコトリエン)を放出する。
(5)放出された化学伝達物質は、目や鼻の知覚神経や血管を刺激する。その結果、目鼻のかゆみ・くしゃみ・鼻づまりなど、花粉症の症状が起きる。
 
 
花粉症予備軍 ―アレルギー体質
◆増える花粉症
 厚生労働省の調査によって、日本人の約3人に1人は、何らかのアレルギー症状があることが分かりました。なかでも花粉症の患者数は、1500万人以上ともいわれ、研究によると、その予備軍は患者数とほぼ同数に上ります。
 花粉症には、遺伝子や環境問題、食品・食品添加物の問題など、セルフケアを超えた要因が大きく影響します。花粉の飛散量が地球温暖化の影響で増加することも予測され、それにともなって花粉症患者の低年齢化と高年齢化が同時に進む恐れがあり、花粉症患者の増加はこれからも続くとみられて います。  
 
◆アレルギー体質の方は要注意!
 図の花粉症のメカニズムをご覧ください。花粉症は、人が免疫機能を働かせるためにもっている「IgE抗体」の増加から始まります。そして、このIgE抗体が作られやすい体質がアレルギー体質です。  
 IgE抗体は、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支喘息などとも関わりがあり、こうしたアレルギー疾患のある方は、すでにIgE抗体が体内に多く存在している可能性があります。  
 現在、複数のアレルゲン(アレルギーの原因物質)にアレルギー反応を示す方が増えています。アレルギー体質、あるいは花粉に対する抗体が陽性だと必らず花粉症になるということはありませんが、花粉症のメカニズムから考えても、ア レルギー体質の方はやはり注意が必要です。
 
◆なぜ花粉症は「突然」なのでしょう?
 「突然、花粉症になってしまって…」花粉症の方から、そんな話を聞いたことありませんか?
 急に花粉症になると感じるのは、IgE抗体とマスト細胞が結合して身体がアレルゲンに対して反応しやすくなっている状態が、花粉症発症寸前のレベルに高まっているときに、新たな花粉症シーズンを迎えたということが考えられます。
 
花粉症 ―早目の対応を!
◆シーズン前に花粉症対策 
 その年の気温にも左右されますが、一般にスギ花粉が飛散し始めるのは、2月。花粉症の治療は、花粉症シーズンに症状が重篤化しないように、症状がでる前(花粉の飛散し始める約2週間前)から行なう「初期治療」が効果的で、花粉症患者の7割が、その治療効果を認めています。  
 花粉症が心配な方や、何らかのアレルゲンによるアレルギー症状がある方は、初期治療が始まるまでに、花粉症を含めたアレルギー検査を受けておくと安心です。
◆アレルギー検査
 医療機関では、アレルギー症状と症状のあった時期について調べる問診と、血液中のIgE抗体を調べる血液検査、アレルゲンによる反応を調べる皮膚テスト・誘発テストなどによって、検査のときに想定したアレルゲンによる抗体の陽性・陰性、アレルギー発症の可能性・治療の必要性を診断します。

【注意】
アレルギー検査は一般的に、症状があって検査を受ける場合は、決められた範囲内で健康保険が適用されますが、症状がなく検査のみを受ける場合は実費になります。医師とよく相談し てください。
   
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2008年12月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載
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