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昨年4月から「特定健康診査・特定保健指導」(通称:メタボ健診)が始まりました。すっかり耳になじんだ言葉ですが、メタボ健診とはどういうものか、また保健指導の目的は何かについて、もう一度おさらいしてみましよう。
 
<<メタボ健診の目的>>
 40歳〜75歳(注:今年度から対象年齢が変更されました)のすべての医療保険加入者とその扶養家族を対象に、昨年度からメタボ健診が行なわれています。これは、内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)によって生じる生活習慣病を予防し、心筋梗塞や脳梗塞などを未然に防ぐのが目的です。内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から動脈硬化を促進させるホルモンが分泌されたり、インスリンの働きが阻害されて血糖値が上がったりします。その結果動脈硬化が進行し、糖尿病・高血圧・脂質異常症など生活習慣病の原因となるのです。
 平成18年度の厚生労働省の調査によれば、40歳〜75歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム状態にあると推定されます。糖尿病とその予備軍は合わせて1870万人。高血圧症とその予備軍は5490万人。総コレステロールや中性脂肪等が高い脂質異常症とその予備軍は4220万人でした。こうした動脈硬化リスクの高い人々をいち早く抽出し、日常生活を見直すための保健指導を受けていただくのがメタボ健診なのです。
 
 
<<レベル分けと保健指導>>
 メタボ健診ではまずへその高さの胴回り(腹囲)を測定し、男性85cm、女性90cmの基準値以上かどうかが最初の判定基準になります。これに加え、「(1)血糖値が高め (2)中性脂肪が多い、またはHDL(いわゆる善玉)コレステロールが少ない (3)血圧が高め」の3項目いずれかに該当すると、メタボリックシンドロームの可能性があります。腹囲と該当項目の数、喫煙の有無により、(1)積極的支援レベル (2)動機づけ支援レベル (3)情報提供レベル、という3グループに階層化されます(下表参照)。
 積極的支援レベルまたは動機づけ支援レベルに該当し、薬物治療中ではない方には、昨年度中に保健指導の利用券が届いたことでしょう。もう、保健指導は受けられましたか。
 「行くと叱られそうで怖い」「太りやすい体質だからダイエットは無理」「運動が嫌い」「時間がないから行けない」など、様々な理由で先延ばしにしている方も、きっといらっしやることでしょう。しかし保健指導の目的は、受診者を叱ったり、厳しいダイエットや運動を強要することではありません。あくまでも、自分では気づきにくい生活パターンのゆがみや癖を理解し、自分で立て直すためのお手伝いをするもの。
 スタッフは医師・保健師・管理栄養士を中心に、看護師や健康運動指導士など様々な職種がかかわります。また個別面接やグループ面接以外に、電話やEメールによる支援も行ないますので、時間のない人でも無理なく続けられます。  
 内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、たまりやすく分解されやすい性質があります。ストレスや過食、運動不足などの影響で増えていく反面、生活を少し見直すだけで減らすことも容易です。まだ保健指導を受けていない方、なんとなく中断している方は、これを機にぜひ利用券を使ってみてください。
 なお、積極的支援や動機づけ支援に該当しても、医療機関を受診し生活習慣病の薬物治療を受けている方には、原則として主治医による保健指導が行なわれます。
 また情報提供レベルの方には、よい生活習慣を維持し、この状態を保つための情報が提供されるので、毎年必ず健診を受けましょう。
 
 
ステップ1  内臓脂肪蓄積リスク
<腹囲> 男性85cm以上
女性90cm以上
→該当する場合はA
男性85cm未満
女性90cm未満
→該当し、さらにBMI指数が25以上の場合はB
 
ステップ2  追加リスク
下記で該当するリスクをカウントする。ただし、4)に関しては、1)〜3)のリスクが1つ以上ある場合のみカウントする。
<メタボリックシンドローム判定項目> <その他の判定項目>
1)血糖 a.空腹時血糖が   100mg/dl以上
または、b.HbA1cの場合   5.2%以上
または、c.薬剤治療を受けている場合(質問票より)
4)喫煙歴あり(質問票より)
2)脂質 a.中性脂肪が   150mg/dl以上
または、b.HDLコレステロールが40mg/dl未満
または、c.薬剤治療を受けている場合(質問票より)
3)血圧 a.収縮期が   130mmHg以上
または、b.拡張期が   85mmHg以上
または、c.薬剤治療を受けている場合
 
ステップ3
ステップ1,2を見て、どのレベルの保健指導が適しているか、グループ分けをする※
Aに該当する人
 →ステップ2で追加リスク数により、次のように評価される
リスク数2以上の対象者
 →積極的支援レベル
リスク数1の対象者
 →動機づけ支援レベル
リスク数0の対象者
 →情報提供レベル
Bに該当する人
 →ステップ2での追加リスク数により、次のように評価される
リスク数3以上の対象者
 →積極的支援レベル
リスク数1または2の対象者
 →動機づけ支援レベル
リスク数0の対象者
 →情報提供レベル
 ※薬剤治療中の人を除く
 ※65〜75歳の人は、積極的支援の対象となった場合でも動機づけ支援となります
 
 次号では、実際の保健指導でどんなことが行なわれるのか、その一端をご紹介します。リバウンドのない 「3・3・3ダイエット」、あと1000歩増やすための裏ワザなどの知恵が満載です。
 
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