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特定健康診査と特定保健指導・後編

昨年4月から始まった特定健診・特定保健指導(通称:メタボ健診)。後編となる今回は、この1年間で寄せられた疑問にお答えします。題して、「あなたの『?』解決します」!


Q、男性より女性のほうが腹囲の基準値が大きいのはなぜですか。

A、へその高さでCT(コンピュータ断層撮影)検査を行なってみると、内臓脂肪の面積が10cm2 を超える人はメタボリックシンドロームの危険性が高くなることが、大規模な調査によってわかりました。この「内臓脂肪100cm2」に相当する腹囲が、男性85cm、女性90cmなのです。女性は皮下脂肪が多いため、その分腹囲の基準値にも余裕をもたせてあります。

 

Q、身長が高い人も低い人も、腹囲が同じ基準なのはなぜですか。

A、メタボ健診を導入する際、研究班が身長の高低による数値の補正を行なってみたところ、腹囲そのままの数値と大差ないことがわかりました。そこで、面倒な計算も不要で、わかりやすい腹囲の数値を、そのまま使用することになったのです。

 

Q、皮下脂肪と内臓脂肪はどう違うのですか。

A、どちらも同じ脂肪組織ですが、身体の表面に近い、手でつまめる脂肪を皮下脂肪といい、小腸や大腸など臓器の周囲につく脂肪を内臓脂肪といいます。皮下脂肪は時間をかけて少しずつ蓄積し、なかなか落ちにくい性質があります。これに対し内臓脂肪は、油断すると短期間で増えてしまう反面、落とすことも比較的簡単です。内臓脂肪は動脈硬化を促進させる物質を分泌したり、インスリンの働きを阻害する作用があります。

 

Q、体脂肪計つき体重計で内臓脂肪も量れますか。

A、内臓脂肪だけ量るのは無理ですが、いつも同じ条件で測定すれば一定の目安にはなります。とくに両手で握って測定する体脂肪計はおなかや上半身の脂肪量を反映しやすいといわれ、内臓脂肪が減れば数値にも表われます。

 

Q、何度もダイエットを試みたのですが、少し減っては、またリバウンドします。楽に痩せられる方法は?

A、短期間で急激に体重を落としたり、「りんごだけ」「ゆで卵だけ」食べるような単品ダイエットで体重を減らすと、その後再びダイエット前より体重が増える現象(リバウンド)が起こりやすいもの。リバウンドを防ぐには少しずつ体重を落とす必要があるので、まずは3か月で体重3kg、腹囲3cm減らす「3・3・3作戦」をお勧めします。体重1kg(7000kcal相当)を1か月で減らすには、1日当たり約230kcal。ほんの少し生活を見直すだけで無理なく減らせるカロリーです。参考までに、100kcalの目安をあげておきます(下表参照)。

 

100kcal減らす目安

≪食事で減らそう≫ 

  • ご飯大盛り→普通盛り(100kcal減)
  • とんこつラーメン→しょう油ラーメン(110kcal減)
  • カツ丼→親子丼(130kcal減)
  • ビール大瓶→350ml缶(110kcal減)
  • コーラ→イオン飲料(100kcal減)
  • イオン飲料→ミネラルウォーター(約100kcal減)

≪動いて減らそう≫ ※体重80kgの人が100kcal減らすには…

  • 早足歩行25分
  • 普通歩行40分
  • 洗濯/炊事50分
  • 軽いジョギング15分
  • 水泳10分
  • ゴルフ30分
  • 電車で立つ40分

  

 

Q、残業が多く、夕食はいつも午後11時過ぎ。食べ終わるとすぐ寝てしまうので、身体に悪いのはわかっていますが、生活を変えるのは難しい。いい知恵はないですか。

A、午後7時頃までに、おにぎりとインスタント味噌汁程度の軽食を摂れますか?それも無理ならいっそ夜食はホットミルクや温かいカップスープ程度にとどめ、30分早起きして朝ごはんをしっかり摂りましょう。夜遅くなればなるほど、食べたものは内臓脂肪として蓄積されやすいので要注意です。

 

Q、私は変形性ひざ関節症のため、歩くのが辛い状態です。ウォーキング以外の体重を減らす方法はないでしょうか。

A、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで、ひざが悪い方でも歩くのが楽になります。自宅でテレビを見ながらできる太ももの筋力トレーニングもありますので、主治医にご相談ください。

 

Q、電車の通勤時間が長く、家に帰るとへとへとです。運動のため、ひと駅分歩いて帰るのがいいと聞きますが、とてもそんな気力がありません。

A、通勤電車を上手に利用しましょう。40分間立ったまま電車に乗っているだけで100kcal消費できますよ。座って居眠りするのはもったいない!また、少し時間があるときは、電柱を数えながら歩くのもいい方法です。電柱21本で600m、約1000歩になります。

 

 

メタボ健診は、内臓脂肪の蓄積を防ぎ、生活習慣病を予防するために、生活を見直すきっかけとして受けていただくもの。去年と今年の数値を比較して、少しでも改善されているといいですね。

 

 

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