ホームクリニック

<緊急特集>新型インフルエンザ

 6月上旬、新型インフルエンザの国内最初の発症者は、海外渡航歴のない高校生で、発症した日付は5月5日と発表されました。これは5月5日以前から国内で感染が広がっていたことを意味します。新型インフルエンザの感染がメキシコ・アメリカで確認されたとの報道があったのは4月下旬。つまり、この時点ですでに日本国内に新型インフルエンザのウイルスが存在していた可能性があるのです。  

 このことは、大きな教訓になると思います。それは、インフルエンザの感染を防ぐには、日頃から、個人によるインフルエンザ対策が必要であるということです。

 とはいえ、それは難しいことではありません。手洗い・うがい・せきエチケットを習慣にしておくこと、そして、マスク・体温計など必要なものをあらかじめ備えておくことです。

 今回の新型インフルエンザは秋から冬にかけて、再流行する可能性があることを専門家は指摘しています。それは、季節性のインフルエンザの流行と時期が重なります。

 いまこそ新型インフルエンザ及び、その対策に関する正しい情報を知り、万全の備えをしておくことが大切です。

新型インフルエンザの特徴

 まだ完全には解明されていませんが、今度の新型インフルエンザは、季節性のインフルエンザと症状が類似していることが特徴とされています。病原性(ウイルスが感染症を引き起こす力)は、全身の臓器に症状を引き起こす鳥インフルエンザに比べると弱めで、抗インフルエンザウイルス薬が効くことから、早期発見・治療が重要であることもわかりました。  

 また、妊娠中の方や心臓・肺に慢性疾患がある方、糖尿病の方は新型インフルエンザの症状が重症化した例が海外では報告されているので、注意が必要です。

 ところで、今回一部報道で「弱毒性」という言葉が使われ、このことで誤った認識をもたれた方はいらっしやいませんか?

 弱毒性・強毒性に関しては、実は、明確な定義が確立していません。感染の症状が呼吸器系のみの場合は「弱毒性」、呼吸器系だけでなく全身の臓器に感染症状がみられ、感染力・致死率がともに高い場合は「強毒性」という風に使用しているようですが、この場合、季節性のインフルエンザも弱毒性ということになります。しかし、季節性のインフルエンザであっても、死亡率は0・1%、全世界で20万〜50万人ほどの死者がでています。

 

国・地方自治体、病医院の対策

  新型インフルエンザが確認されたとき、全国各地の病医院は、国が定めた行動指針(ガイドライン)に沿った医療を提供するように、国や地方自治体から要請されています。  

 国の行動指針では、新型インフルエンザに対して段階的に対処することが基本的な方針になっています。

 海外で新型インフルエンザの発生が確認されたら第一段階の措置として、国内へのウイルスの流入を水際で阻止することに重点を置いた対策がとられます。そして、発熱電話相談センターの設置、発熱外来の設置準備が行なわれます。  

 次に第二段階の措置として、国内で発生が確認されたら、発熱相談センターによる電話相談、発熱外来による診療が開始されます。6月中旬現在、感染の拡大がみられる一部地域を除き、日本では第二段階の対応がとられています。

 さらに大規模な集団感染がみられる場合、対策は第三段階に移行します。発熱相談センターや発熱外来は規模を拡大し、多くの医療機関が発熱外来を支援することになります。

 この時点で大切なことは、仮に感染していたとしても症状を重篤化させないことと、できるだけ感染を広げないことです。

 発熱・せきなどの症状がある場合、事前に連絡なく医療機関を受診すると、もし新型インフルエンザに感染していた場合、待合室などで他の病気で受診にこられている方に感染させてしまう「二次感染」の心配があります。

 まず、発熱相談センターに電話で問い合わせ、その指示に従って指定された医療機関を受診してください。そして、受診するときも事前にその医療機関に電話連絡をして、受診する時間や受付の入口などについて説明を受けてからにします。

 第二段階では、感染が確認された場合、軽症の方でも、入院して治療を受けることになります。また、同居者の方や濃厚接触者とされた方は外出自粛を要請され、保健所へ健康状態を報告することが法律により定められています。

 

個人(家庭)での対策

 新型インフルエンザの感染が拡大した場合、軽症の方は自宅療養が勧められます。冒頭にも述べたとおり、新型インフルエンザ対策には、個人(家庭) での正しい対処の仕方を知っておくことが大切です。こちらに関しては、下図を参照してください。  

 

※新型インフルエンザの国内発生を受けて、今月のホームクリニックは、記事を差し替えました。「基礎からシリーズ・2 高血圧症」は、8月号に掲載を予定しています。

 

<日頃から注意すること>

・手洗い(参考資料:東京都健康安全研究センターホームページ)

・うがい

・せきエチケット

マスクをしていないときに、せきやくしゃみをするときは、ティッシュなどで口や鼻をおおい、できれば1メートル以上離れてしましょう。ティッシュはすぐにゴミ箱に捨ててください。せきやくしゃみが続くようなときは、マスクを着用しましょう。

 

・充分な睡眠とバランスのとれた食事

 

<流行期の注意点>

・人込みを避ける(特に体調不良のとき)

・感染が疑われるときは会社や学校を休む

・マスクを着用する

 

<感染したかどうか心配なとき>

・病医院を直接受診するのではなく、発熱相談センターに電話する

→URLにアクセスしてリンク先へ

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-02.html

→下一覧に問い合わせる

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2009年7月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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