「同じことをいったり聞いたりすることが多くなった」と、ご家族の方にいわれる。自分が昨晩、食事をしたのかが思いだせない……。
これらは、年齢を重ねてきたゆえの「物忘れ」でしょうか? それともほかに何か理由が…。
物忘れの原因が病気によるものか加齢によるものかを見極め、おもに初期の認知症を発見するために「物忘れ外来」は設置されています。
ここでは、問診、診察、神経心理学的検査(テスト)、頭部CT・MRI検査・脳血流検査などが行なわれ、初期の認知症であると診断される場合には、薬物療法・リハビリテーションを開始します。
認知症は、根本的な治療が難しい病気ですが、初期の段階で適切な治療・リハビリテーションを行なえば、病気の進行を遅らせることもできるのです。
認知症による物忘れと単なる物忘れの遠いで代表的なものは、体験に関することです。
例えば「食事」を例にとると、認知症の場合、「何を食べたのかを忘れる」というのではなく、「食事をしたこと自体を忘れてしまう」という症状が見られます。自分が体験したこと自体を忘れてしまうのです。今まで、そうしたことが、ご家族の方にありませんでしたか?
また、認知症になったお年寄りを介護する家族が、「おかしいな?」と、その変化に最初に気づいたのは、「同じことをいったり聞いたりするようになった」「物の名前がでてこなくなった」などが多いようです。
初期の認知症は、自分が病気になっていることに、本人はなかなか気づきません。家族の方が、まず気づくことが大切です。
−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2009年9月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載