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睡眠障害

 睡眠の悩みというと、まず「寝つけない状態」を思い起こします。実際に、不眠で病医院を受診する方は、「入眠障害(寝つきが悪い)」を訴える方が多いようです。  

 ところで、「充分に睡眠をとっているのに、日中眠くて仕方ない」‥‥‥こうした悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?この場合、何らかの原因があって、睡眠の質そのものが低下している可能性があります。『睡眠障害』は、この両方のケースをさします。

睡眠の仕組み

 睡眠を得るには、「一定の周期(リズム)で眠くなる」「疲労によって眠くなる」という脳のなかで起きる、ふたつの仕組みが関係しています。  

 「一定の周期(リズム)で眠くなる」というのは、いわゆる「体内時計」が脳の機能として存在しているからです。起きたときに強い光を浴びる時刻と、その他の生活のリズムが規則正しい場合、毎日ほぼ同じような時間帯に、眠気が訪れます。

 一方、「疲労によって眠くなる」というのは、脳や身体が活動することによって脳内に分泌されるさまざまな「睡眠物質」が関係しています。これらの物質は脳に蓄積され、睡眠を促します。

 規則正しい生活と適度な疲労、この2つがうまく機能している場合は、良好な睡眠が得られやすくなります。しかし、これらが何らかの理由で阻害されてしまうと、『睡眠障害』が起こる可能性が高くなります。

睡眠を妨げる原因

 快適な睡眠を妨げる原因には、ストレスなど、心理(精神)的な要因が係わっている場合と、「むずむず脚症候群(次項参照)」や「睡眠時無呼吸症候群」など、さまざまな病気が原因になっている場合があります。このふたつは影響しあって『睡眠障害』を悪化させることもあります。  

 例えば、睡眠時無呼吸症候群により、眠りの質が低下して日中に強い眠気を感じるため、仕事が思うようにいかない。このことがストレスになり、夜、寝つけなくなり、睡眠の「質・量」ともにさらに低下してしまう……こうしたことも起こりえます。

 不眠で悩んでおられる方は、まず、精神科か心療内科を受診しましょう。不眠の原因が何であるか診断を受けます。そして、特定のストレスや病気が原因である場合、それらの解消・治療によって、『睡眠障害』も改善するようにしていきます。

 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中、短時間の無呼吸状態が何度もみられ、ぐっすり寝ることができない病気です。大きないびき、不眠の自覚、日中の強い眠気が特徴です。中年以降の肥満者に多くみられます。

睡眠薬について

 不眠の症状にもよりますが、1週間に3日以上の不眠が、1か月を超えて続くような場合、睡眠薬を使用した薬物療法が行なわれることがあります。  

 人によっては、睡眠薬に不安を感じる方もいらっしやるかもしれません。しかし、現在おもに使われている睡眠薬は安全性が高く、医師の指示に従い、処方通り服用すれば、まず心配のないものが使用されています。

 

睡眠の常識?

<1日8時間睡眠?>

 1日に必要な睡眠「量」は、人によって違います。不眠に悩む方は、8時間という数字にとらわれず、睡眠の「質」を高めたほうがよいようです。

<早寝早起き?>

 早寝早起きは素晴らしい習慣です。ただ、不眠の方が生活改善していく場合、この言葉を逆にして「早起き早寝」というように意識してください。早く寝なければと、そのことをストレスにしないように。多少無理しても、朝、早く起きることが、次の入眠を楽にしてくれます。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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