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アトピー性皮膚炎

 アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患のひとつで、原因の多くは、遺伝的素因(アレルギー体質)とアレルゲン(ダニ・ハウスダスト・食物(卵・牛乳・大豆)など)に関係しています。強いかゆみを伴う湿疹が、治まったり発症したりを繰り返し、かゆみからくる精神的ストレスや、悪化した皮膚に感染症が起こりやすいなどの悩みがあります。

 アトピー性皮膚炎の 「アトピー」という言葉には、「とらえどころのない」 という意味があります。この言葉は、アトピー性皮膚炎が、その特徴でもある、原因が複雑に絡みあって起こる病気であるということを現しています。

 原因は何か? それぞれの患者によって異なる原因を特定し、症状をコントロールしていくことが治療の第一歩となります。

薬物療法

 アトピー性皮膚炎に対する治療は、薬物療法によって皮膚の炎症を抑えることが基本になります。薬物療法には、ステロイド外用薬、非ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏(免疫抑制剤)、保湿外用薬、抗アレルギー薬などの内服が用いられ、症状により、それぞれ単独で、または組み合わせて使用します。

 これらの薬剤のなかで、ステロイド外用薬に関しては、その使用に不安をもたれる方がいます。しかし、その不安の多くは、薬剤の不適切な使用法によってもたらされた結果から生まれた誤解がもとになっているようです。

 ステロイド外用薬は、症状に合った強さの薬を必要な期間にわたって使用すること、そして、1日に定められた回数、使用することが基本です。使用法を誤ると、十分な効果が得にくくなります。必ず、医師・薬剤師の指示に従って使用してください。 

アレルゲン対策

 アトピー性皮膚炎のアレルゲンのなかで、年齢を問わず多くの患者にみられるのは「ダニ」で、検査をすると、約7割の患者がダニに陽性を示します。ハウスダスト(部屋のほこり)のなかにもダニはたくさん含まれているので、部屋を清潔に保つことは、アトピー性皮膚炎対策として重要です。

 アトピー性皮膚炎の原因には、食品が関係していると聞いたことがあるかもしれません。食品がアレルゲンになるケースは、乳幼児期に多くみられます。これは、消化管の発達が不十分だからと考えられています。

 4歳を過ぎる頃には、食品に対するアレルギーの陽性反応は、ずっと低くなります。食事は、成長期の子どもにとって重要な意味を持ちます。食事制限は、医師と相談のうえ慎重に行っていきましょう。

スキンケア

 アトピー性皮膚炎の方は、皮膚の状態が、病原体の侵入に対して防御機能が低下した状態にあります。それだけに、皮膚の清潔さ、および水分・油分を保つことは、とても大切です。

 

〔スキンケアのポイント〕

○入浴は、毎日

○かゆみを感じるほどの熱湯は使用しない

○石鹸やシャンプーは、天然の成分のみを使用した物を

○肌を刺激する成分を含んだ入浴剤を使用しない

○入浴後5分以内に、保湿剤を使用する

○衣類の洗剤は、界面活性剤の含有量の少ない物を選ぶ

 

継続的な治療

 根治(病気を根本から完全になおすこと)の難しい病気とされる、アトピー性皮膚炎。短期間の治療で湿疹が治まらず、次々と病院や治療法を変えてしまう方もいますが、これは返って症状を悪化させてしまう恐れがあります。

 この病気の方の多くが、治療によって症状をコントロールすることで、やがては薬を使用しなくてもよい状態になっています。あきらめずに希望を持って、治療していきましょう。 

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2010年12月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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