はつらつ健康ナビ

香りの話

 道を歩いているとき、ある場所である香りを嗅いだとき、懐かしい情景を思い出した…そんな経験のある方は多いでしょう。香りには、記憶を呼び覚ます不思議な力があるようです。そしてこれらは上手に利用することで、生活に、思わぬ効果をもたらす可能性があります。

 

香りと、記憶・感情

 ある女性の話です。彼女には、とても気に入っている香水がありました。外出するときには、いつも、その香水をつけていたそうです。

 ところが、ある夏、外出中の彼女は、エレベーターのなかに1時間ほど閉じ込められるという体験をしました。その日から、彼女はその香水を使うことを止めてしまいました。その香水の匂いを嗅ぐと、エレベーターに閉じ込められた記憶が蘇るから…だそうです。

 記憶と感情には、密接な関係があります。幸福な記憶は穏やかな感情を、不快な記憶はマイナスの感情をもたらします。ある人にとっては良いと感じる香りが、他の人にとっては不快という場合、この女性のケースのように、香りと記憶・感情との関係があるのかもしれません。  

 

香りの利用

 リラックスできる香り、安心できる香り、集中できる香り。ハーブやお香など、よく知られている香りからはそのような効果が実感できない、そうした方は、ご自身の記憶(体験)に関連する香りを利用してみるのも良いでしょう。

 さらに積極的に、とても嬉しいことがあったときに香りのする物を購入してみる。そして、気持ちが落ち込んだときにはそれを利用し、幸福な記憶と感情を呼び覚まして心をプラスに向ける助けにする。とても興味深い効果が得られるのではないでしょうか。

 香りと、記憶・感情に関係する脳の働きについては、まだ分かっていないことが多いようですが、私たちの身近な経験からも、これらは、どこかで深く結びついているように思います。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年1月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

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