知るほどTOPICS

お通じの話

 お通じの悩みは、なかなか他人に相談しづらいため、その辛さを我慢している方もいらっしゃるのではないでしょうか?市販薬による一時的な緩和で対処し、『体質だから仕方がない」と諦めている方もいらっしゃるでしょう。しかし、その悩みの原因がストレスによるものだとしたら、どうでしょうか?

 『過敏性腸症候群」……この病気によって、お通じに悩んでいる方が、増えています。


 過敏性腸症候群とは、腸に、腫瘍や炎症などの疾患がないにもかかわらず、慢性的な下痢や便秘、ガス過多などの症状が現れる病気。緊張や不安などのストレスが原因と考えられ、そうした状況や状況を控えたタイミングで起こる腹痛や腹部不快感、便通異常を総称したものです。

 過敏性腸症候群は、症状の現れ方によって大きく3つに分けられます。

●下痢型

 緊張や不安によって腹痛が起き、腹痛の度に便意がある。便通があると腹痛は収まる。 いつ便意をもよおすか強い不安・抗うつ感をもつ人が多い。

●便秘型

 便やガスがお腹に溜まりやすい状態が続いているため、腹痛や腹部の不快感がある。小さくてコロコロとした便が出る。

●不安定型(混合型)

 下痢が数日続いた後に、便秘が数日続くといった状態を繰り返す。過敏性腸症候群は、男性の場合には下痢型、女性は便秘型として現れるケースが多いようです。

 ところで、なぜ、ストレスがお通じに関係あるのでしょうか?腸は、自律神経の働きによって制御されています。このため、ストレスが、自律神経の働きを過度に高めるほどかかると、腸の働きが過剰に、あるいは、不足したりといった状態が起こるのです。

過敏性腸症候群

 「過敏性腸症候群かもしれない」と、病医院を受診される方が増えています。その一方で、冒頭にもあるように、市販薬で緩和させ、結果的に不安感を持ったまま生活している方も多いようです。 過敏性腸症候群は、ストレスが原因の場合、市販薬では根本的な治癒は望めません。また、過敏性腸症候群の症状は、大腸がんや大腸炎など、ほかの病気が原因で起こる症状とよく似ています。自己判断せずに、医療機関で検査を受けて確かめることが大切です。まずは、かかりつけ医に相談してください。

過敏性腸症候群の治療

 過敏性腸症候群の治療は、生活習慣の改善と食事療法や運動療法、そして、薬物療法によって行なわれます。

●生活習慣の改善(ポイント)

 朝の時間帯に余裕を作り、朝の排便を習慣化する。

 決まった時間に、3度の食事を摂る。

 十分な睡眠と休養。

●食事療法

 下痢型=香辛料を多目に使った刺激の強い食品、脂っこい物などを避ける。アルコールや乳製品は控え目に。

 便秘型=食物線椎の多く含まれた食品を多く摂る。十分な水分補給を心がける。

●運動療法

 適度な運動は腸の働きを整える効果が期待できる。散歩や体操、ストレッチなどの軽い運動を取り入れ、ストレスの解消を図る。

●薬物療法

 薬物療法では、症状に合わせて、腸の運動や便の硬さを調節する薬が使用されます。また最近では、腸の働きに大きく影響する「セロトニン」という物質を抑える、新しい治療薬が登場しました。現段階では、成人男性の下痢型の過敏性腸症候群に対しての処方のみとなっていますが、その効果に、大きな期待が寄せられています。

 

−すぐに役立つ暮らしの健康情報−こんにちわ 2011年2月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

トップページへ